久々の再会と逃走っぷりに
「銀ちゃん、おはっ……!?」
いつものように万事屋に来た菜子だったが、目に入ったある人物につい驚いて朝の挨拶も止まってしまった。
「…久しぶりだな、菜子」
「…っヅラー!」
「ヅラじゃない、桂だ!!」
昔からのなじみの一人、桂小太郎がいたのだ。
「っと、菜子じゃないか。久しぶりだな……」
「ホント久しぶりだね…ヅラ。」
「だからヅラじゃないと昔から言っているだろう!…ったく、銀時と高杉の悪影響だな……」
「よ〜菜子!今日も相変わらず可愛いね〜さすが銀さんが選んだだけあるよ、うん」
「あ、銀ちゃんってば!ヅラと会ったりしてたの!?それならそうと言ってよ〜」
「銀さん、束縛する派だからぁ〜。俺以外の野郎を見たら駄目だろ〜菜子」
「ちょ、話逸れるって!!」
(…なんだ、銀ちゃんってばなんだかんだ言っててもヅラと会っていたんじゃない。それならそうと言ってくれればよかったのに)
「……で、ヅラ」
「ヅラじゃないって何回言えばわかるんだ!!…ったく、菜子はアイツ等の影響なんか受けるな」
「はいはい……で、それ何?」
ヅラの説教を軽くスルーし、菜子が指差すのはヅラの隣に座る白い物体…………
「………ホントに何それ!?なんかオバQみたいなんだけど」
「菜子、オバQじゃない。エリザベスだ」
「えっエリザベス!?」
(……いやいやいやっ!これ絶対エリザベスって感じじゃないってば!てゆーか、何?ペンギン?オバQ?とりあえず只者じゃないことは確かだよね??)
「銀時から菜子が江戸に住み始めたとは聞いていたが……元気そうで何よりだな。」
「え?あぁ、うん……」
(……駄目だ、エリザベスが気になって仕方ないんだけど)
ちらり、とエリザベスのことばかりついつい目が行ってしまう菜子。気持ちがわからないでもない。
「銀時、菜子に変なことをしてはいないだろうな!?」
「ハッ……別に俺が菜子に何しよ〜と俺の勝手っしょ?それに責任取れるしよ〜」
「……やっ何する気よ銀ちゃん!?責任って何!?」
「そりゃー決まってるっしょ?男と女がすることと言っちゃあ……」
「あーっやっぱ言わないでっ!!」
銀時の口を両手で覆い、その続きを言わせないようにする菜子。……なんであれ、よさそうなことではなさそうだ。
「……さて、菜子にも会えたことだしそろそろ行こうとするか、エリザベス」
「え、もう行っちゃうの?」
ソファーから立ち上がり、出ていこうとするヅラを寂しげに声掛ける菜子。
「私も攘夷活動で暇ではないからな。……なぁに、また会える。同じ江戸の町にいるのだからな……」
「…う、ん……そー…だよね!」
(…昔とは違ってみんな近くにいるんだもん。すぐ会えるよね…)
「じゃ、気をつけてね。真撰組、今頃見回りの時間だと思うから」
「ああ……さらば」
あっという間に立ち去っていくヅラとエリザベスの背中が、見えなくなるまで見送ると銀ちゃんのいるところへと戻る。
「ヅラってば昔から変わらないよね、真面目だし」
「まぁあんな真面目な奴が指名手配犯なんだから世も末ってやつだな」
「ホントね〜…」
……なんて呑気に話をしながら朝食を器用に作っていく菜子。
あっという間に美味しそうな朝食が出来上がった。
「…っよし!ご飯出来たよ、銀ちゃん。これ神楽ちゃんや新八君にも食べさせてあげてね」
「おっ、相変わらず菜子の料理は美味そうだな〜」
「それはどーもっ!じゃ、私そろそろ屯所に………」
…と、そのときだった。
「かーつらっ!!」
……総悟の叫び声と、彼愛用のバズーカが放たれた激しい音が煩いくらいに耳に入ってきた。
「……オメーも大変だな〜…菜子……」
「…また真撰組の評判落ちちゃうのかな…?」
「…いやぁ〜もうこれ以上落ちねぇんじゃねーの?」
……きっと、今から行く屯所はこの総悟の暴れっぷりに頭抱えた近藤さんと瞳孔開きっぱなしのトシの姿があるのが目に浮かんで来た菜子なのだった。
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