銀ちゃんの赤ちゃん
この世から、この国から、先生を消した奴らが皆憎かった……否、今も憎い。
この真っ黒な思いは私の心のどこかにいつもあって……この思いに全て支配されたら私は完全に獣と化してしまうのだろうと日々、思う。
「晋助様ァ……すみません、この来島また子、晋助様の力になれなかったっス」
肩を下ろし、落ち込むまた子を軽く視界に入れると……晋助はまた酒を口にしていく。
「……満月が、綺麗だなァ……」
「えっ……?」
いきなり晋助が発した言葉はそんなことで、また子は訳が分からず首を傾げることしか出来ない。
「……まるで、かぐや姫でも降りて来そうな月だ……」
「晋助様……」
夜空に浮かぶ真ん丸の満月に、満足そうに笑みを浮かべる晋助。ククク…と彼独特の笑い声が辺りに響く。
「今度、この月が浮かんでるときには………」
アイツは、俺の元にいるはずだ。
「……武市、紅桜の様子はどうだ?」
「えぇ、順調に出来上がってきてます。来月辺りには試作のが出来上がるころかと……」
紅桜が出来たとき、そんときは…俺のもとにかぐや姫が帰ってくるときだ。
「ククク……楽しみなこったァ……」
ニヤリと楽しげに笑みを浮かべながら、晋助は満月を眺め続けたのだった。
「銀ちゃーん?お邪魔するよ?今日、苺牛乳が安売りしてたからついでに買って………」
「あっ、菜子……!!」
今視界に広がる万屋の様子に、菜子は驚きのあまり、手にしていた苺牛乳の入ったスーパーの袋を手放してしまった。
「っ、ぎ、銀ちゃん……そ、その赤ちゃんって……まさか……!」
「…っだぁ」
「ち、違うーっ!!菜子ちゃん違うんだってーっ!!」
何故ならば銀ちゃんそっくりの赤ちゃんが、銀ちゃんに抱かれていたのだから。
「ぎ、銀ちゃんの赤ちゃん!?」
「…だぁっ…」
「やっ違うって!だってアレはアレだったし、違うんだって!うん、アレだし……まさか、」
「アレって何ー!?」
「まじ違うんだって!銀さん、菜子ちゃん一筋だから!!」
しかし、銀時の必死の訴えも虚しく……衝撃が走った菜子の脳内までには届くはずもなかった。
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