降り積もる不安
「妖刀?んなもんリサイクルショップにあるわけないだろ」
「そうだよ、銀ちゃん。もし行くとしたらリサイクルショップじゃなくて、なんかワケわかんない壺とか売ってる骨董品屋とかにさ…!」
「いやいや〜今はもう通販で妖刀買える時代だからな〜」
鉄也、鉄子の二人と話を終えた後、銀時と菜子は何故か近所のリサイクルショップに訪れていた。
「大体アンタのそれは紛いもんだろ?」
リサイクルショップの店員の女性が銀時に腰に掛かっている木刀に目をやる。
「えっ!じゃあ銀ちゃんのその木刀って通販で……!?」
「あら、お嬢さん知らなかったのかい?」
「ちょっとー!何そこでネタバレしてんだよーっ!銀さん、もっと謎っぽくしてたかったのにさー!ヒーローらしくー!!」
それじゃあつまんねぇだろ、と話し出す銀時だが今はそんなこと話している場合ではない。
「…あー…てっきり売り飛ばされてると思ったんだが、この様子じゃ金儲け目当てではなさそうだな」
「人の魂を吸う刀……【紅桜】か………」
銀時たちは【紅桜】の行方を追っていた。ここのリサイクルショップに向かう前に、いろんな問屋などに寄ってみたが、どこにもなかった。…と、いうことは【紅桜】を盗んだ犯人は銀時の言う通り金儲け目的ではないということだ。
「あ、刀と言えば……アンタたちの探してるその妖刀かどうかは知らないけどね、面白い刀の話を聞いたよ」
「面白い、刀……ですか?」
リサイクルショップの店員の言葉に首を傾げながらも問う菜子。女はそうそう、と頷きながら話し始めた。
「ここ最近、辻斬りが流行ってるのは知ってるだろ?まぁ出会った奴は皆斬られちまったんだが、遠目で見た奴がいるらしくてね。
…そいつの話じゃ辻斬りの刀が刀と言うより、生き物みたいだったって」
「生き物みたいな、刀………?」
…それは一体どういうことなんだろうか?生きているみたいな、刀…駄目だ、想像がつかない。
「次行くぞー菜子」
「え、あっうん……!」
銀時に言われるままリサイクルショップを後にする菜子。
「っ、これからどーするの?銀ちゃん……」
「んー…仕方ねぇな……菜子、お前は今から家に帰りなさい」
「……へ?」
いきなり話が飛び、菜子は思わず変な声が出た。
「なっ、なんで!?」
「んー?そんなの菜子が気にする必要がねぇから〜!……ってなわけで、じゃな!」
「え、ちょっとー!!」
銀時を呼び止めようにも、彼は人混みに紛れて上手いこと逃げていくではないか。見る見るうちに彼の姿は遠いものとなっていく。
「……いなくなっちゃった」
ポツンと一人、置いてきぼりになってしまった菜子。彼の行方もわからない今、彼の言うとおり家に帰るしかない…………と、思った矢先だった。
「……アレ、新八君に神楽ちゃんに定晴にエリザベス…!?」
「あ、菜子さん!!」
橋の上で新八君と神楽ちゃん、定晴、エリザベスに出会った。……こんなところで会うとは思ってもみなかった。
「どうしたの?こんなところで……」
「二人が勝手に出て行った後、エリーに話を聞いたアル」
「ご、ごめんなさい……!」
(…神楽ちゃんの声が黒い気がするのは私の気のせいじゃない、よねぇ…?)
「で、エリザベスの話って……?」
「実はですね……」
「ヅラが、行方不明!?」
「それが、本当みたいなんですよ。桂さんの血染めの所持品もあって、ここ数日桂さんの姿も見ていないし……」
エリザベスが差し出して来たのは真っ赤な血で染まったヅラのは所持品。それを見て、菜子の顔色が段々と真っ青に変わっていく。
「そん、な……どうしてこんな大事なこともっと早めに言ってくれなかったの?」
もし、早いこと知っていれば……もっと早く対処出来たかもしれないのに。
「で、僕達で今から探しに行こうと……」
「っ、私も行く!ヅラのことが心配だもの!!」
ヅラのことだからそう簡単にやられたりはしない。そんなことはよくわかっている。昔からの付き合いだもの。…けど、不安なものは不安なのだ。
「じゃー菜子は新八とエリーと頼むネ!あたしは定晴と行って来るアルー!!」
「わかった、行こう新八君!!」
「えぇーっ!?微妙な分け方だよ、絶対!!もっと慎重に………」
しかし新八の意見は聞き入れてもらえなかった。
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