裏切りなんて言えないよ


「おーうっ!邪魔だ邪魔だァァ!!」


「万事屋銀ちゃんがお通りでェェ!!」





ドカドカ…と物凄い勢いで目の前に広がる敵を蹴散らしていく神楽と新八。その二人の後を、菜子と鉄子が銀時を支えながら歩いている。





「いででで…元気でいーなァ、オメー等よ〜…」


「銀ちゃんってば、そんな年寄りみたいなことを……」





銀時の言葉に苦笑する菜子。…ふと彼女の視界に、この場に似合わない天人達の姿が入った。





「…天、人が……どうしてここに?」


「っ、あいつ等……海賊【春雨】か……」


「海賊、【春雨】……!?」





銀時の呟きに、菜子は大きく目を開いた。何故ここにあの宇宙一の海賊【春雨】がいるのだと言うのだろうか。そんなとき、目の前にいた天人たちは背後にいる者に斬られた。





「退け、俺は今虫の居所が悪いんだ…!」


「桂さん!!」


「ヅラっ!」






それを斬ったのは、刀を構えている桂。彼の瞳は珍しく怒りの感情がこもっている。万事屋、桂率いる浪士達、そして菜子は互いに背を向け、丸くなる。





「…よォ、ヅラ。どーした、その頭。失恋でもしたか?」


「黙れイメチェンだ。貴様こそ、どうしたそのナリは。爆撃でもされたか?」


「黙っとけやイメチェンだ」


「どんなイメチェンだ」





…なんて、銀時と桂は呑気なやり取りをしているがそんな場合ではないのは百も承知。
菜子はゆっくりと口を開き、桂に問う。






「…ヅラ、なんでここに【春雨】がいる、の…!?」


「……菜子、落ち着いて話を聞くんだ。…これも奴が、高杉が仕組んだことだ」


「っ!?」





桂の言葉に信じられなくて…菜子は大きく目を開かせた。





「…う、そっ……だって晋助は私が天人嫌いだって知って……」


「それを知ってて、奴らと手を組んだんだ。高杉は……」





(うそ、嘘……!だって私は……天人に両親の命を奪われた。そのことを深く、深く憎んでいる。その傷はこれから一生消えるはずもないと、自覚している。…私のこの苦しみも、晋助は一番に理解してくれていた。なのに……それなのに……!)






「ちがっ、晋助は…そんな、」


「菜子、今のアイツはただの獣。この世界を壊すことしか頭にない」






「晋、助……」





彼の姿を、目で追う###name1#。晋助は万斎と並んで【春雨】の船の上からこちらの様子を眺めている。…いや、眺めているだけではない。目で菜子に訴えている。
"早く戻って来い"、と。





「桂さん、ご指示を!!」


「…【紅桜】は殲滅した。もうこの船に用はない。後ろに船が来ている、急げ」





桂の言葉通り、助けの船が後に来ている。皆でそちらの船に乗り込もうとする…が、





「させるかァァ!!全員残らず狩りとれ!!」





天人達が束になって、逃がさないようにと攻めて来た。…そのとき、皆を庇うように前に出たのが………





「退路は俺達が守る」


「いけ…!」





桂の銀時の二人だった。剣を振るい、向かってきた敵を斬り倒した。





「しかし…!」


「っ銀さん!!」





この二人に気を遣うように神楽と新八、浪士達は戸惑いを隠し切れない。…けれど、そんなことしている暇はない。




「っわ!離すネ、エリー!!銀チャン!!」





エリザベスが強引に神楽たちを抱え、船の方へと逃げ去って行った。…この場に残ったのは銀時、桂、菜子だった。





「…あーらら、菜子ちゃんは行かなかったわけね」


「菜子、高杉の元へと戻るつもりか?」


「……銀ちゃん…ヅラ……」


「ヅラじゃない、桂だ」





二人の問い掛けに口籠もる菜子の視線の先は愛しい恋人の姿。





「お前は、高杉に裏切られたのかもしれんのだぞ?」





宇宙海賊【春雨】と手を組むと言うことは…天人と共にこの国を滅ぼしていくということ。……菜子の両親を殺した奴らと一緒に。






「……っけど、…だけど……!私、晋助の…傍にいてあげないと………」





それが、菜子の思いだった。






「…晋助が、天人と手を組んだとしても…それを裏切りとは言いきれないよっ……!」





だって、最初に彼を裏切ったのは…私。晋助のためだなんて言い聞かせ、本当は自分の身を守ろうとした。…晋助から、勝手に離れてしまった。





「だって、最初に私が晋助を傷つけてしまった…!」





だから私には彼を裏切りだと責め立てる権利なんてない。





「だから、晋助の傍にいてあげなきゃ……でしょ?」





そう笑いながら告げる菜子の笑みは……何だか物寂しいものだった。




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