別れを告げる手紙
真選組のみんなへ



まずはトシ。
いつも副長としてご苦労様。
初対面のとき、正直私はトシのことが怖かった。瞳孔開いちゃってるし、不機嫌そうだし。…けど実際一緒に過ごしてみるとそんなこと忘れちゃってた。
近藤さんを支えてあげたり、総悟の暴走の後始末をしたり…いつもいつも急がしそうな貴方の姿を見ていると、いつか倒れないかと心配してました。
だけどトシはそんな柔な人じゃないから、強い人だった。貴方の強さを、私は何度羨ましいっと思っただろうなぁ。

ねぇ、覚えてる?
私が何故か一日真撰組隊士になっちゃって、町で火事が起こったときのこと。
私、勝手に火で包む家の中に飛び込んじゃって…中に居た男の子を救出して帰って来たとき…私すぐに倒れちゃったんだよね。
そんな私を、トシは優しく抱き寄せてくれて、屯所の方まで運んでくれて……そのことがあって暫くは、私のことを気に掛けてくれてたよね。
私、それがすごく嬉しかったんだよ?…今でもふと、あのときのトシの体温が蘇ってくるなんて言ってもトシのことだから信じないかな?


ねぇ、トシ。トシも私と似て、すぐ無茶するところがあるから心配です。人のことを心配する前に、自分のことも大切にしてあげてね。煙草も吸いすぎないように!マヨネーズも摂取しすぎないように…って書いても聞かないんだろうけど(笑)

…トシ、私ね…トシの不器用な優しさが大好きでした。





総悟へ


総悟ってば、可愛い顔してサドだから私はいつもたじたじでした。初対面でいきなりメールアドレス聞いてきたり、割れた湯飲みの破片で切れた指を強く握って虐めたり……あ、そんなのは私だけじゃないかな?
けど総悟はいつもドSだけど、一緒にいるとすごく楽しくて、すごく優しくしてくれて…その優しさに私は何度救われたんだろう……感謝してもし切れません。

…私が、雨の日…びしょ濡れで帰って来たときのこと…覚えてる?あのとき、私が偽りの笑みを浮かべながらも、本当は落ち込んでいたことに気付いたのは他の誰でもなく総悟でした。

そんな私を気遣って、次の日綺麗な桜を見せに連れて行ってくれたこと…私、すごく嬉しかったんだよ。
あの桜の風景は、今でも覚えてる…花びらは綺麗な桃色に染まっていて、風に吹かれていたよね。…あれを見て、私の心はすごく…すっごく癒されたんだよ?苦しい思いをたったひとときだったけど、忘れることが出来たの。幸せと言うものを改めて感じることが出来たの。

…そして、こんな弱い私を好きだと言ってくれてありがとう。…私は総悟の気持ちに応えることは出来ないけれど…感謝してる。


…ありがとう、大好き、総悟。これからも、総悟は総悟でいてね






最後に…近藤さんへ


いつもいつもお疲れ様です。真選組の局長と言うこともあり、幕府の者と接したり、部下をまとめたり…さぞや大変なことでしょう。
だけど近藤さんはいつも嫌な顔一つせず、笑ってこなしていきます。心優しいそんな貴方だから皆命を預け、戦いたいと思うのだと予想もつきます。

近藤さんは、いつも心広く私を迎え入れてくれました。そのおかげで私は…人の優しさのあたたかさに改めて触れることが出来ました。ありがとうございます。

トシみたいなことを…と、貴方は笑うかもしれないけれど…少しは人を疑うと言うことを知ってください。貴方の優しさに付け込んで、利用しようとする輩はごまんといるのだから。


私はもう、貴方達と笑って隣を歩くことは二度とないでしょう。出来ないでしょう。
…だけど、これまで共に過ごした日々までも否定はしないでほしい。私にとって、大切な思い出のひとつへとなってしまったのだから。

長いようで短い間でしたが、ありがとうございました。松平さんにもお礼の方、お伝えください。

さよなら


花村菜子より











「銀チャーン、名無しの封筒が来てるアルー」





神楽は万事屋のポストに入っていた白い封筒を、先日の乱闘で怪我をし、包帯だらけの銀時に渡した。それを銀時はつまんなそうな顔して封筒に目をやる。






「あァ?んなもん知るかよ、捨てとけ捨てとけ。そーゆーのはろくなもんじゃねェんだから。」


「ガッテン承知!」


「なんてアバウトな!もーいいです、僕が目を通します、ったく、適当なんだから……」






神楽から封筒を預かり、中を確かめる新八。…するとそこには綺麗な字が綴られていた。






「銀さん、これ…手紙みたいですよ?」


「はぁ?手紙だァ?ったく、勘弁してくれよ〜んなもん読むよりジャンプの続きが見てェんだよ、俺ァ。おい神楽、ジャンプ買って来い!」


「嫌アル!自分で行って来るネ」


「幼気な銀さんには無理ですー」


「幼気なあたしにも無理アルよ!」


「…っちょ、二人とも!そんなのはどうだっていいから!見てくださいよ、この手紙!!菜子さんからですよ!」


「…ちょっ貸せ、新八!」





銀時は強引に新八から手紙を奪い取ると、その手紙の内容に目を追った。







万事屋のみんなへ



まずは神楽ちゃん!


いつも元気で明るくて、可愛らしい神楽ちゃんは私にとって妹みたいな存在で…神楽ちゃんと本当に姉妹になれたみたいで楽しかったんだ。

神楽ちゃんってば、いつも私が作った食事を全て綺麗に食べちゃって…作る側からしたら空っぽになったお皿を見ると嬉しくて、美味しそうに食べてくれている姿を見ると何だか照れ臭く感じたりしてました。

だけど、食べ過ぎは禁物だよ?体によくないからね。また、ちゃんと栄養バランス摂ってね。銀ちゃんに任せっきりだと危険だから気をつけてね。




新八君へ


いつもいつも、銀ちゃんの面倒を見てくれてありがとう。銀ちゃんは自由気ままな人だから掴めない部分もあったりするけど…いざと言うときは頼りになる人です。
呆れる部分もあるけれど、そのことはわかっていてほしい。…いや、新八君ならきっともうわかっているかな?

新八君は万事屋の皆の中で一番しっかりしているし、貴方が万事屋にいると安心出来ます。…大変だと思うけれど、よろしくね。

陰ながら応援してます。







銀ちゃんへ


銀ちゃん、怪我の具合はどうですか?そう、すぐに治らないとは思うけど少しずつ良くなってくれていることを願います。

この江戸の町に辿り着いて、銀ちゃんと再会出来て、すごく嬉しかった。昔に戻れた気がして仕方がなかった。…そんなはず、ないとわかってはいたけれど。

…銀ちゃんは、昔と変わらず、私のことをいつも守ってくれていたよね。その逞しい腕で、私のことを抱き寄せてくれた。その心地いい温もりに私は…救われたの。
前に、銀ちゃんが強く抱き締めてくれたことがあったよね。すごく強くて、苦しいぐらいに。あのとき、銀ちゃんが思っていたこと…なんとなくだけどわかるよ。…私のことを案じてくれていたんだよね。
その優しさを、私はワザと知らないフリをしたの。…どうしたらわからなくて、知らないフリをするのが精一杯だった。

私は何度、銀ちゃんの優しさに寄りかかって来たのかな?ほんと迷惑な奴だね…自分でも、自分の甘えに、嫌になるのに銀ちゃんは変わらず私を抱き締め、守ってくれた。ありがとう。
糖分の摂りすぎに気を付けてね?無茶ばかりしないでね?
もう、なかなか会えなくなるけど…私達はずっと"仲間"だと信じてる。ずっと…ずっと……皆にはわからない何かで繋がっているんだって…信じてるから。

ばいばい…銀ちゃん。ありがとう。




花村菜子より
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