可愛いおねだり
「…ギンちゃん」
「どないしたん?琥珀」
「琥珀、もう怒ってないよ?」
「そんなん琥珀見てればわかるわ」
「だ、だから…もう、そんな…琥珀なんかのために色々してくれなくても……」





琥珀は困ったように眉を下げる。二人の私室に戻ってくれば、ギンは琥珀の大好物の料理を次々作るは、彼女に似合いそうな着物を大量にプレゼントするは、ぎゅうっと彼女に抱きつき、片時も離れようとしない。





「何言うてんねん、琥珀!琥珀に寂しい思いをさせたんは僕のせいやねんで?こんくらいは当然や」
「け、けど…」





流石にこれは明らかにやり過ぎだ、と琥珀は伝えたいのだが、ギンは気にすることなく次々と琥珀に尽くそうとする。





「琥珀、次は何してほしいん?僕、琥珀のためやったら何でもするで」
「琥珀は…」
「何や?」
「琥珀は、ギンちゃんと一緒にいれたら…いいよ」





今度は琥珀が抱き返す番で、ギンの首回りに腕を回す。にっこりと微笑みながらギンの胸元に頬を擦り寄る。





「琥珀は、ギンちゃんが大好きだから」
「琥珀は…ほんまええ子やなぁ」





そっと、自分の胸元に顔を埋めている琥珀の顔を起こさせるギン。顔を上げた彼女の頬に触れるだけの口づけを落とす。
すると琥珀は照れくさそうにはにかみながら、口を開いた。





「…ね、ギンちゃん…琥珀、ギンちゃんに…ちゅーしてほしいな…」





可愛いおねだりをしてくる琥珀が、堪らなく愛しい。






「ほんま、琥珀には敵わんなぁ…」





白い頬に手を添えて、ギンは少女の小さな唇に自分の唇を重ねたのだった。
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