少女がいないとき

「…はぁ……」
「ちょっと隊長!」
「…はぁ…一体なんやの、イヅル…」
「なんやの、じゃないです!ちゃんと仕事してください!」
「悪いけどそない気分やないねん、僕」
「…じゃあ一体何しに来たんですか…!」





いつも以上にやる気のないギンにイヅルは呆れ混じりに声を上げる。




「せやかて、しゃあないやん…僕の可愛い琥珀が傍におらへんのやから」
「…あー、頭痛が酷いんでしたっけ」
「乱菊のせいや!乱菊が琥珀に酒なんて飲ますさかい!!」
「乱菊さんらしいと言えばらしいですが…」
「あーあかん、ほんま琥珀が足りんくて僕死にそうや…」
「ちょ、ちょっと!何言ってるんです!?今朝一緒だったんでしょ?それに仕事が済んで帰ればまた会えるじゃないですか…!」
「そんなん全然足りひんわ…あぁ、ほんま今すぐにでも琥珀に会いたいわぁ…」





はぁ…と溜息をを零し、ただただ項垂れているギン。…溜息をつきたいのは此方だとイヅルは心中呟いた。





「…しかし、今日一日でこの様子ですと…彼女が現世任務に向かうときはどうするんです?確か、来月上旬でしたっけ?」
「………は?」



イヅルの口から出て来た信じられない一言に…ギンは間抜けな声を洩らした。





「…今、イヅル…何て言うたん?よぉ聞こえへんかったんやけど…」
「ですから、確か月丸五席の現世任務、来月初めからでしたよねって…確か期間は一週間ほどでしたっけ…」
「何やのそれ!?僕そないこと一つも聞いとらんで!?」
「なっ何言ってるんですか隊長!こないだ、彼女の現世任務への許可を受理したじゃないですか!隊長にもサインを貰ってます!ほら!」






イヅルから渡された一枚の書類…それを見てギンは愕然とする。…確かにその書類の下の方にサラリと書かれた自分の名前。…これから適当に書類に名前を連ねるのをやめようと決意した瞬間でもあった。




「こ、こんなん取りやめや!琥珀にはまだこない任務早すぎや!」
「なっ!?今更そんなこと出来ませんよ!」
「出来んくてもするんや!!琥珀にそない危ない真似させるわけにはあかん!」
「無理ですって!隊長!!」
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