しばしの別れ
現世へ向かおうとする琥珀を最後の最後まで止めようとしたギンに見送られながらも…琥珀は現世へと到着した。
「…今回の任務は現世に大量に出没している虚の退治、かぁ…ギンちゃんに褒められるためにも頑張らないと…!」
ギンに褒められることを想像し、思わず笑みを溢す琥珀。…つい先刻ギンと別れたばかりだと言うのに、もう彼が恋しい。
「…早く、一週間経たないかなー…」
つい溢してしまった本音。早くギンに会える日が待ち遠しい。そう思いながら、任務へと向かったのだった。
「…ああ、ほんま堪えられへん…」
「隊長、此方の書類に目を通しといて下さい」
「琥珀がおらんとなんも出来ん。もう嫌や、早う会いたいわ…琥珀」
「…隊長、いつも以上にやる気ないですね」
「琥珀のことが気になってそれどころやないわ」
「何言ってるんです、彼女だってそれなりの腕前なんですからそれほど心配なんて…」
「…ほんまイヅルはわかっとらんなぁ〜…せやからモテんのやろ」
「なっ!?」
ギンの言葉にあんぐりと口を開くイヅル。何故いきなりそんな話になると言うのだ。
「あんなぁ、ほんまに大事な子のことは気になってしゃーないんよ。そら琥珀は僕が手取り足取り教えてあげたから強いで?せやけど琥珀は女の子やさかい、無理してほしくないねん」
と、言い切るギン。…その思いがわからないでもない。自分が大事に想っている子を好き好んで戦場に送る…なんてことはあまりしたくはないことだと。
「琥珀は僕が守るんやから先陣切って、戦う必要なんかないんよ。せやのに、イヅルが無理矢理琥珀を現世に送るような真似しよるさかい…!」
「だから、隊長が最後に確認した上でその書類に判子を押したんです。僕のせいじゃありません!」
何より、彼女が請け負わなかった一週間をイヅルが面倒をみるのだ。それだけでも勘弁してほしい、というのが彼の本音である。
「…早う帰って来て…琥珀ー…」
「…はぁ……」
…これを機に、彼女を任務に向かわせるのは金輪際やめておこうと決めたイヅルなのであった。
1/52
prev next△