知られたくなかった事実
ギンちゃんには、絶対知られたくなかった。





「アンタ、目障りなのよ!いい加減わからないわけ!?」
「…やっ…!痛い痛い…!!」
「アンタみたいなガキ、市丸隊長が相手にするはずないのに!」
「…お願いっ…やめ…!」





小さく蹲るしかない琥珀を囲み、女達は好き勝手に殴り、蹴り飛ばしている。どれだけ琥珀が痛いと泣き叫んでも、やめてと頼んでも…決してその暴言暴力をやめることはしなかった。





「今だけよ。市丸隊長がアンタを気に掛けるのは」
「そうそう、アンタが幼いから可愛がってあげてるだけ。本気にしないでよね?」
「…うっぐ…」





痛い。苦しい。心も体も悲鳴を上げている。…だけど、琥珀はグッと堪えるしかなかった。





「…おねが…もう、やめて…っギンちゃんが、待ってる…から…」
「アンタ、まだそんなこと言うの?ほんと、物覚え悪すぎなんじゃない?」
「…ギンちゃんに、心配…かけたく…ないのっ…!…だから…っやぁ!?」





琥珀の細い手首を、一人の女が踏みつぶした。ぐりぐり、と容赦なく踏むせいで琥珀の手首は真っ赤に擦れている。




「だから言ってるでしょ?市丸隊長は、アンタみたいなガキを相手にするはずが…!」
「君等そこで何してるん?」





そのとき、聞こえてくるはずがない声が…聞こえた。聞き間違いなんてするはずがない。だって、この声は…琥珀が大好きな人のものだから。




「…っい、市丸…隊長…!どうして、ここに……っ」
「あれ、僕の言葉が聞こえなかったん?そこで何してるん、って聞いてんねんやけど」
「…ぎ、ギンちゃ…っ」
「僕の琥珀に、何してくれてるん?」





そう告げるギンは、不気味なくらい笑みを浮かべていて…思わずこの場にいた者全てが恐怖のあまり体を震わせた。





「君等、ここから生きて帰れると思わんときや」

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