ちゅっと甘い口づけを
「もう退院しても大丈夫ですよ」


「ほんとですか、卯ノ花たいちょっ…わわっ!」


「琥珀ーっ!!ほんまよかったなぁ、もう僕ヒヤヒヤしたわぁ…」


「ぎ、ギンちゃん…いきなり抱きつかれたらビックリしちゃうよ…」





琥珀が退院できると聞いて、本人よりもギンが喜びを隠せずにいた。小さな琥珀を背後から抱きしめると、琥珀は驚いた声を洩らすが、すぐに笑顔へと戻った。





「市丸隊長、琥珀さんがすっかり元気になったようで…よかったですね。しかし、無理をさせてはいけませんよ?まだ完治したばかりなのですから…」


「せぇへんって。なー琥珀?」


「…へへっ…ギンちゃん……」


「……心身ともに回復したようで…」





ここへ運び込まれたときは、絶望で瞳に光がなかった琥珀だったが…今の彼女は今までのように…否、今まで以上にキラキラと輝いて見える。これもギンの存在のおかげか…。





「それでは、また何かありましたら気軽に来て下さいね、琥珀さん」


「ありがとうございましたっ卯ノ花隊長!」





ぺこり、と卯ノ花隊長に対して小さく頭を下げると…琥珀はギンのもとへ駆け寄って行く。そしてギンはギンで軽く卯ノ花隊長に対して礼を告げると…自分のすぐ傍でべったりとくっついている琥珀を抱き上げて、瞬歩で救護室を後にしたのだった。

そして、ギンが向かった先は…二人の部屋だった。






「…へへっ、なんか…懐かしい感じがするよ」


「…琥珀」


「わっ…ギンちゃん…!」





ぎゅうう…と背後から抱きつかれ、そっと後ろにいるギンの様子を伺おうとする琥珀。だがギンは琥珀の肩に顔を隠してしまっていて、よくわからなかった。






「…ギンちゃん?どうしたの…?」


「…ほんまに、よかった…」


「ギンちゃん…」


「ずっと、こうして…琥珀に触れたかったんよ…」


「……琥珀も、ギンちゃんが恋しかったよ…」






自分の首元に巻かれたギンの腕にそっと手を添える琥珀。大好きなギンの温もり。ただそれだけで笑みが零れてしまう。






「ね、ギンちゃん…もっともっとぎゅーってしてほしいな…」


「…これ以上抱きしめたら琥珀潰れてしまいそうや」


「琥珀なら平気だよぉ…だって、もっとね…ギンちゃんとくっついていたいんだもん」


「…あぁ、こらあかん。僕もう我慢出来ひんわ」


「へ?」





ギンの言葉の真意が読めず、またギンの方へ首を動かした瞬間…琥珀の目の前にはギンの顔があった。唇に触れた温もりに、ぱちくりと琥珀は瞼を動かした。





「…ぎ、んちゃ…?」


「久々のチュー、やな?」


「…!……うん、そだね…へへっなんか、照れるよ…」


「琥珀が悪いんよ、僕を煽るようなことばっか言うさかい…」


「あおる?」


「…せやから、ちゃんと責任取ってや…琥珀。今日はもう絶対離したらへんから」






軽い琥珀の体を抱き上げ、ベッドの方へ運ぶギン。琥珀をそっと横に寝かせると、ギンは彼女を覆うように琥珀の顔左右に両腕を置く。





「今日はどのくらい接吻出来るか試そか?明日互いの唇が腫れてまうかもしれへんなぁ…」


「…へへっ、ギンちゃんギンちゃん…」


「ん、どないしたん?琥珀」


「あのね…だーいすきっ…」






まるで秘密話をするかのように…ギンの耳元へそっと囁く。そして彼女からギンの唇へ触れるだけの口づけを落とした。






「…あー…」


「…?ギンちゃん、どうしたの??」


「…あかん、ほんま僕、理性切れそうや…」


「りせい?」





幼い琥珀には、大人の事情など露知らず。
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