ライバル出現
それは、あまりに急な出来事だった。





「……た、ただいまっ」





パタパタと足音を立てながら三番隊隊舎へ入ってくる琥珀。片手には修理に出していた彼女の斬魄刀…光之君が握られている。…しかし、ようやく愛刀が戻ってきたというのに琥珀の表情はどこか晴れずにいた。






「おかえり、琥珀。技術開発局までちゃんと行けたみたいやな」


「あ…ギンちゃんっ…へへ、う、うんっ」


「……琥珀?」


「ひ、光之君…ちゃんと直ってたよ…っへへ…」


「…何や挙動不審やなぁ…琥珀、何かあったん?」


「!え、っと……何かって言うか…えっとね……」





何からどう説明すればいいのか、幼い琥珀なりに懸命に頭を働かせる。が、それも次の瞬間無用なこととなる。






『…何をそんなに慌てているんだい?琥珀』






聞き慣れない、男の声が聞こえた。かと思えばいつの間に琥珀の傍にいたのだろう。べったりと彼女にくっついている美形の男がいた。






「なっ…!?」


「あ、ちょっと…勝手に出て来ちゃ駄目だってば…!」


『いいじゃない、俺と琥珀は別に隠すような間柄じゃないんだし…ね?』


「駄目なものは駄目なの!ギンちゃんにちゃんとお話してから……」


「………」


「…あっ、ギンちゃん…えっと、彼はね…」


「…誰やの」


「!!」






一生懸命言葉を紡ごうとする琥珀を遮って、ギンが声を放つ。冷たく、感情の読めない不気味な声。そんなギンの態度にビクリと琥珀は肩を揺らした。






「…あ…っ」


『市丸ギン、お前がそんな態度を取るから琥珀が驚いているじゃないか』


「ほんま、腹立つ奴やなぁ…ええ加減僕の琥珀から離れてくれへん?」


「わっ…」





強引に、男から琥珀を引き離すと自分の腕の中に閉じ込めるギン。ぎゅう…と琥珀を抱きしめ、離そうとしない。






「…琥珀に触れてええのは僕だけや」


「…ギンちゃん…」


「琥珀もそない気安く僕以外の男に触れさせたらあかんて。琥珀は僕のものやねんから」


「…あ、ギンちゃんっ…彼はね…!」


『はぁ…ほんとつくづく琥珀に同情するよ。こんな狐目野郎のどこに惚れたのか理解不能だ』


「何やて?」


「っ光之君、ギンちゃんの悪口言ったら許さないよ!!」





男の言葉にギンが不機嫌さを増したそのとき、ぴしゃりと琥珀が大声を上げた。そして、彼女の口から出て来た男の名にギンは大きく目を見開かせた。






「…琥珀、今、何て言うたん…?」


「…えっとね、彼はね…琥珀の斬魄刀の光之君なの」


『…ふん』


「…はぁ!?どないなってんねん!?」



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