どうかいい夢を
それからと言うもの、光之君は琥珀にべったり付きまとった。彼女の斬魄刀だからそれが当たり前なのかもしれないが、ギンに言わせれば不愉快極まりない。





「君、ええ加減琥珀から離れや」


『うるさい、お前にそんなことを言われる筋合いはない。市丸ギン』


「…ほんま君性格悪いなぁ。そうやってフルネームで僕の名前呼ぶとこなんか、性格の悪さが滲み出とるわ」


「……二人とも、喧嘩は駄目だよ…?」


『心配しなくても喧嘩じゃないよ、琥珀』


「そうや、こない奴と喧嘩するはずないやん」


「…?」





ギンと光之君はにっこりと笑みを向けてくるものの、それがどこか不審に思えて琥珀は首を傾げる。…笑っているのに、目が笑っていないのだ。






「…琥珀、今日は疲れたやろ?もう休もうな」


「…うん、なんか琥珀、眠くなっちゃった…」


「そうか、ほなもう寝よか」


「うん…」






うとうとと睡魔に襲われ始めた琥珀はギンの腕に抱かれ、布団へと寝かせつけられる。可愛らしい寝顔に愛しさを感じ、ギンはそっと彼女の柔らかい頬へ口づけを落とした。






『気安く琥珀に触れるなよ、市丸ギン』


「…何や、またいちゃもんつけるん?ええ加減にしぃや、君。僕等の邪魔しとるってことがわからへんの?」






背後から聞こえた低い声に、ギンはニヤリと笑みを浮かべながら言葉を返す。笑っているとはいえ、決して機嫌がいいわけではない。むしろその逆だ。






「明日になったら十二番隊長さんのとこにでも連れてって元に戻してもらわなあかんなぁ」


『ふん、そんなことをしても琥珀が悲しむだけだよ』


「何やて?」


『それに、俺には琥珀をお前から引き離すという役目がある』


「…そない無駄なこと…僕と琥珀が離れるわけないやないの。こない愛し合ってるんやさかい…」


『…馬鹿め、お前の存在が琥珀を傷つけているんじゃないか』


「…何言うてるん、君」


『琥珀がいつも涙を流す原因は、市丸ギン…お前じゃないか』






ギロ…と殺気の込められた視線がギンへと向けられる。しかし、ギンからすれば光之君の放った一言が気に入らない。






「僕のせいで琥珀が泣いてるって…どういうことやの?」


『そのままの意味だよ。俺はいつも…琥珀が一人隠れて泣いてきたのをずっと見て来た。いつもいつも、お前のことで琥珀は泣いていた…!』






そっと…眠りについている琥珀に手を伸ばし、優しく頬を撫でてやる光之君。心地よさそうに眠っている少女の姿にほっと息を洩らした。






『…俺は、琥珀を守る刀だ。琥珀を泣かすような奴に琥珀は渡さない…絶対に』






いつまでも、彼女には笑っていてほしい。それが光之君の一番の願いだった。



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