またね、よろしくね
ギンちゃんとゆっくり瀞霊廷へと戻った。いつもなら、ギンちゃん得意の瞬歩で一瞬で帰れるのに、ギンちゃんはそれをせず…ただただ琥珀を抱き寄せて、ゆっくりと歩いて帰ったんだ。
二人でいる時間を、大切にするように…ゆっくりと帰った。ギンちゃんに甘えるように、ギンちゃんの首元に腕を回してしがみつくと…ギンちゃんは嬉しそうに笑って、抱き返してくれた。
「光之君、話聞いて?」
『…嫌だ』
「…っ光之君……」
長い時間をかけて瀞霊廷に帰ると…光之君が悲しそうな表情を浮かべていた。思わず琥珀も悲しくなった。
琥珀の話を聞いてほしくて、ちゃんと彼と向き合いたくて尋ねてみたけれど…光之君はそれを良しとはしなかった。
「…どうして…?」
『嫌だよ、だって今から琥珀が言おうとしていることくらい想像つくから』
「え…?」
『俺は、もう用済みだって…!そう、言うつもりなんだろ?』
「…っそんなこと、琥珀は少しも思ってないよ…!」
『嘘だ!俺が、実際にこうして実体化したおかげで大好きな市丸ギンと喧嘩する羽目になったし…琥珀のこともアイツが守るって言うなら、俺みたいなただの戦うだけの道具なんていらないじゃないか!!』
「…っやだ!!」
光之君が告げる言葉一つ一つが幼い琥珀の心に深く突き刺さり、思わず大声を上げた。
「光之君は、琥珀にとって大事な相棒だよ!だからそんなこと言われたら琥珀寂しいよっ!!」
『…琥珀……!』
ボロボロ…と涙零す琥珀はただただ必死に自分の思いを明かした。まっすぐ過ぎる琥珀の言葉に、光之君は目を見開いた。
「…琥珀のこと、いつも守ってくれたのは光之君だよ…っそんな光之君のことは誰よりも琥珀、信じてる…ほんとだよ、光之君…」
『……本当?』
「…ギンちゃんとは、また違うけど…琥珀は光之君のこと、大好きだから……だから、これからもずっと…琥珀の大切な相棒として…ずっと傍にいてね…」
ぎゅう、と光之君にしがみつく琥珀に…光之君はそっと抱き寄せた。ずっとずっと、自分が守ると決めた大切な存在…今までも、これからも……守りぬく存在。
『……ありがとう、琥珀。俺のこと…そんな風に言ってくれて。琥珀にそう言ってもらえたら俺は…幸せだ』
「……光之君、」
『…俺はずっと、琥珀の傍にいるから…ずっと、琥珀の味方だから…また、市丸ギンに苛められたら俺に言えよ?絶対助けに行くから』
「…琥珀、ギンちゃんに苛められてないよ…?」
『いいから…な?』
「…うん、わかった」
『……またな、琥珀』
ちゅ、と頬に温かいものが触れた瞬間…光之君は光の粒子となって目の前から消えた。そして、琥珀の腰にささる斬魄刀が輝いた。
「…うん、またね…光之君」
琥珀はにっこり笑みを浮かべながら、斬魄刀に手を伸ばした。
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