内緒の話は暗闇で



「ねえ.....戻らないと、そろそろ誰か探しに来ちゃうよ」

「戻りたくねえ。せっかく──がこんなに近くにいるんだから」

「なにいって、!」

そうして、体重をかけるようにエレンは──へと体を密着させた。
想像より男らしく、ゴツゴツしたその体は──の顔を熱くするには十分だった。

「ねえ、エレン、ほんとに...」


「──」

そう紡がれた途端に、エレンは──の唇を塞いだ。そのあまりに自然にされた行為は──を驚かすのには十分で、思わず目が大きく見開いた。

先程からエレンの体を押していた右手は、もはや役割を果たさずにいる。

「ん、まっ、て...」

すがりつくように執拗なエレンの唇の感触に、力は抜けていく。
決して美しいようなキスではなくて、ただ──の唇を求めるかのようにエレンは何度も何度も、角度を変えて口付けた。

「ふ、..んん」

「は、...好きだ、──」

「!!」

雨が降り注ぐようなそのキスに、──は息もできなかった。
力も抜け、ただエレンの唇を受け入れ、ピクリと動かした指先は、エレンのシャツの胸元を弱々しく握った。

「ん、...」

どれくらいたっただろうか、──にとってはひどく長く感じた。

息が苦しくなる頃、エレンの胸板を叩けば、ゆっくりとエレンは顔を離し、伏せていた瞼を上げた。
ばちりと合った視線に、顔が沸騰するかのように熱くなる。
自分のいつもより何倍も早く動いている心臓を騒々しいくらいだ。

赤くなった顔と、とろんとした──の目は、エレンを興奮させるのには十分だった。


するり、と躊躇なく洋服を捲りエレンの冷たい手がひやりと腰に触れる。

「や、ちょっとエレン!まって、...んむ、」

口を塞ぐようにエレンはもう一度キスをした。──の抵抗も虚しく、動きを止めないエレンの右手は、つつ、とゆっくりと上へと上がっていった。与えられている刺激に──は体を震わせる。

「...──」

離れた唇から、吐息を交えた弱々しく、掠れているエレンの声が耳の奥を刺激した。
エレンの顔をみれば、少し上気している頬はうっすらと赤くなり、目はしっかりと──を見つめていた。

「エ、レン...」

熱を帯びたその視線に、惹かれるように、ゆっくりと顔を近づけた。


「エレン!──!ここにいるのかい?!」

「!!!」

唇まであとわずかのところで、扉を叩く音とアルミンの叫ぶ声が耳を貫いた。
あまりの動揺にビクリと体を揺らし、思わずエレンを力強く押して距離をとった。

「あ、あ、アルミン?」

「ああ、良かった。いるんだね?そろそろお風呂の閉まる時間だから、呼びにきたんだ。ハタキは見つかったかい?」

「いや、その!ハタキ...、全然見つからなくて、!」

バタバタと慌てて声のしている方へと駆け寄り、急いで扉を開けた。

「ご、ごめん...ハタキはもういいよ、!無かったから、」

「え、大丈夫?僕も一緒に探そうか、」

「いや!!ほんとに大丈夫だから、」

慌てて飛び出てきた──と、奥で不貞腐れてるエレンに、アルミンは首をかしげた。

「ねえ、──、顔真っ赤だけど...どうしたの?もしかしてなんかあった?」

「な、な、なんもないに決まってるじゃん、!やだなー、もう...早く帰ろう?」

「う、うん」

顔を赤く染めている──に、グイグイと背中を押され、アルミンは戸惑いながらも足を動かした。

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