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何度か唇が重なったあと、ゆっくりと離れ、リヴァイとばちりと視線が交じれば──は恥ずかしそうに目線を落とした。

「すみません...訓練の時はちゃんと集中するので...」

「そうだな。お前の頭の中が俺で満たされてるのも悪くない。が、それで怪我なんてされたら元も子もねぇからな」

「な、!」

さらりとなんでもないように伝えられた言葉に、──は思わず目を見開いた。

「兵長って...そんな事言うような人でしたっけ、...」

「ああ」

驚く訳でもなく、平然と答えたリヴァイに──は何も反論出来ずにたじろいだ。

「そ、そうですか…」

「お前が覚えてねぇだけだろ。ベットの上だとすぐに寝ちまうからな」

「...っ、あれは兵長が!」

いくら兵士で他の女性よりは体力があるとしても、リヴァイとのそれは簡単についていけるものでは無い。

ガツガツと獣のように求められた昨晩のことや今までの情事を思い出して、──はボッと頬を真っ赤に染めた。

「兵長のせいじゃないですか....っ!ていうか、こんな所で何言ってるんですか!!」

まさか誰かに聞かれてはいないか、と今度は真っ青に顔を色付けた──は、後ろや横をキョロキョロと急いで見回した

確認するも、どうやら周りに人影はいないようで安堵の溜息を零す。

「別に誰もいない」

「そんなこといったって...誰かに聞かれたらと思うと」

心臓が締め付けられますよ、と──が言うと、リヴァイは先程からコロコロと変わる──の表情を見つめた。

「聞かせとけばいいだろ。丁度いい、虫除けにもなるだろうからな」

「き、聞かせとけって!」

困ったように眉を下げて顔が赤く色付いている──は体をぴしりと固まらせた。

「オイ、そろそろ訓練の時間に間に合わなくなっちまう。少し急げ」


「〜っ、!.....わかりました、!」

まだ何か言いたげな表情の──にリヴァイは鼻で笑ったが、ほんの少しだけ、表情では掴み取れないが穏やかな雰囲気のリヴァイの背中を──は少しだけジッと見つめた。

今までは気恥しさや困惑からいつもリヴァイと話す時に気を張っていたけど、今は肩の力も抜けている。
まるで昔に戻ったかのような気持ちになって、──はジン、と胸が熱くなった気がした。

少し前の中庭で、リヴァイの背中を見つめる事しか出来ずに追いかけられない時もあったが、今は違う。

「ちょ、ちょっと待ってください...リヴァイ兵長!」

「早くしろ。置いていかれたくねェならな」

リヴァイの半歩後ろについた──は頬を緩ませた。今までのギクシャクした関係より断然こっちの方がいい。

朝に感じた重たい足が嘘のように軽く、まるで弾むようだ。

「今日の夜は訓練に疲れてすぐ眠っちゃいそうですね」

「お前は明日休暇だろう」

「はい、だからお昼までぐっすりですよたぶん...」

「そうか。訓練の後だしぐっすり眠りたいところだろうからな、善処はする」

「善処、?」

「シャワーは済ましてから来い」

「、!っ!」

その言葉の意味に──はすぐに気付いたあとに、思わず足を止めてしまう。
──は何度目かわからないほど染まった熱い頬を手で押さえつけた。