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目を覚ました。

ガンガンと鳴る頭を抑えて、ベットから出ようとすれば、頭に鈍い痛みが走った。
水でも飲もうと、重たい体を上げる。


「─!!...え」

布団から出した足から、体まで、一糸まとわぬ自分に、思わず目を大きく開いた。

昨日は、リヴァイ班のみんなとハンジさんの飲み会に入れてもらって...、その後に兵長も参戦してきて、と徐々に頭に浮かんでくる。

肝心はその後だが「まったく思い出せない、」と痛む頭を抱え込む。必死に動かしても成果は得られない。

完全に酒に飲まれてしまった。しかも同僚の前ならまだしも先輩達の前でだ。最悪だ、と落ち込むがやってしまったものはしょうがない。早く行って謝りに行ってこようと、身支度を整えるために鏡へと向かった。

「これ.....」

首すじと胸元に、ポツリポツリとある赤い小さな跡。
キスマーク、のようなその跡にまさか、とつい体が硬直してしまう。もしかすると一夜を共にしてしまったのか、と──は白い顔は真っ青に染めた。

昨夜の事は覚えていない。絶対に無いとは言いきれないのだ。


「いや、いやいや、まさか」

兵団内で体の関係をもってしまっただなんて、誰にも言えないし、これから先が気まずすぎるではないか。最悪だ、とグラりと頭が痛くなる。

それにしても相手は誰だ、その相手によってこれからの──の人生が変わってしまう。
記憶が飛んでいる──にとっては、思い出したくないが、思い出したくもある記憶だ。

昨日あの場にいた男性。兵長、はありえない。オルオ、はペトラがいるし...。途中ハンジさんに会いに来たモブリットさん、はその後すぐ帰ったし。
様々な仮定が出てくるがこれといってピンとくるものもなく、お手上げ状態だ。

(考えるほど頭が痛い)

ハッキリと思い出そうとすればするほど、つかみどころのないあやふやな記憶の頼りなさ。
今日の寝起きは最悪だ。とにかくこのまま1人で考えても分からないので、昨日の様子をハンジさんにでも聞きに行こうと、気乗りしない体をゆっくりと動かした。

身支度をして最後にパチリ、と胸元のベルトを付けて自室のドアを開けた。
重たい足を動かしていれば、食堂から話し声が聞こえていた。──はハンジも朝食は食べているだろうかと立ち寄ろうと、その賑やかな方へと向かった。

「あ、ハンジさん!」

げっそりとした顔でパンを頬張っているハンジは、──と同様二日酔いのようだ。ハンジを見つけ、──は別の意味で胸を弾ませて急いで駆け寄った。

「やあ、──は元気そうだね...私は昨日の酒がもう体に残ってて、ほんと、昨日の自分を殴りたいくらいだよ」

そう終始ぼんやりとした表情で口を紡いだハンジに──は苦々しく笑った。

「私も頭すごい痛くて...後悔してますよ、今日は午後訓練があるのに」

「ああ、──もそういや珍しくすごい飲んでたもんね、なにか嫌なことでもあったのかい?」

「え、あの...全然昨日のこと覚えてなくて...、最後って私1人で帰ってました?」

「うーーーん、いや、誰かが付き添った気が...するような、しないような」

「ほんとですか...っ!それって誰でした?!」

「誰だったかなー、」

まだ気だるげな顔をしたハンジは、額に手を当ててみるも、期待は出来なそうだ。そんなハンジに──は縋るように見つめた。