休み時間毎に食べてる


「与田っていつもなんか食ってるよな?」

珍しくお弁当だった私と購買の響香ちゃんでお昼休みを教室で過ごしている時、食堂から帰ってきた上鳴君がこちらに近づき言い放った。

上鳴君は響香ちゃんと仲良く(本人に言うと怒る)私もたまに話しかけられるが、改めてしみじみと言われてしまい私は何も言えなくなった。
私はがっつりお弁当を食べた後のデザートにコンビニで買った新発売のドーナツを食べているところでなんの言い訳もできなかった。



「いきなりなんなの上鳴」
「いや、だって与田って見るたんびになんか食ってるよな?それで全然太らねーのすげえよ」
「どこみてんの、セクハラかよ」
「バッカ!ちげえって」

私が黙っていたら二人はポンポンとテンポよく話を進めていった。私はそれに「個性柄かなあ」と曖昧に笑った。

「なんか、溜める?ことができるから食べれる時に食べとこうみたいな」

へ〜と二人が似た様に返事をするから面白くなって笑う。

「まあそれ抜きでも食べるの好きだから」
「確かに。与田、食堂のメニュー端から攻めてるよね」
「えっバレてた?恥ずかしい…」
「しかも全部大盛りだし」
「まじか、思ったより与田すげえな」
「うっ…ランチラッシュ美味しいんだもん…」

太らないからいいよね、と羨ましげに言われるが太らないけど別に痩せてはないけどね、と自虐的に笑った。

「その辺は好みじゃない?」
「くっ」

慰めはいらない、そう思いドーナツをかじる。

「そうだぜ!与田!お前のおっぎゃああ!!」

突然現れた峰田君が私に向かって何か言おうとした瞬間響香ちゃんのイヤホンジャックが顔面に命中した。非常に痛そうだ。
見慣れたやり取りに苦笑いが漏れる。
チラリと上鳴君に目をやるとこちらを見ていたのか目が合いにっこり笑い、

「な、そんなに食えるなら食べ放題行こうぜ?スイパラとか」


パチパチと目を瞬き、そういえば彼はこういう距離感の詰め方をしてくる人だったなあと思い出した。
食べ放題なんて是非とも行きたいし、未だにこの辺りの土地勘がゼロに等しい私には渡りに船である。でも上鳴君と2人はハードルが高いな。

いいね、と言いつつ響香ちゃんも行こうよとさりげなく誘えば上鳴君はデートじゃねぇの〜と項垂れながらも乗り気で、響香ちゃんも「デートとかないでしょ」と鼻で笑いながらも了承してくれた。

その後復活した峰田君や話を聞きつけた透ちゃんが私も〜と来たりして結局クラスの殆どで行くことになったのだった。

因みに切島君が引っ張られてきた爆豪君に食べっぷりをドン引きされたがタバスコまみれのパスタを食べている彼には引かれたくなかった。