04

元金魚の少女名前と暮らして1週間になった。
彼女の『生態』ついていろいろ分かってきた。

まずは食べ物。食べ物は俺と同じもの、すなわち人間と同じものを食べる。
この前、うっかり焼き魚を出してしまったが彼女は普通に食べていた。
抵抗感はないのか尋ねてみると
「弱肉強食です」
とのことだった。ちなみに1番好きな食べ物が何か聞いたところイチゴジャムだった。「独歩さんの色です!」なんて言われたらきゅんとしてしまう。

彼女は読書家だ。
俺が仕事で家を空けている時は大体本を読んでいる。俺が持っている本の大体がビジネス本なのでつまらないだろうと思い図書館に行って何冊か本を借りてきた。
そういえばこの前シブヤの夢野幻太郎にディビジョンバトルで会ったのでサイン本を貰ってきてあげたら物凄く喜んでくれて、最近はサイン本を抱えて寝ている姿をよく見る。・・・今度握手会でも連れていってやろうかな。

あと、忘れちゃいけないのが

「あ?!やばい!み、みず・・・・みずっ・・・!」
フローリングでのびている名前を回収して浴室に投げ入れ、シャワーで冷水をぶっかける。

「名前・・・またお前本に夢中になってたろ」
「う、うーーん・・・独歩さん、すみません、うっかりです」

彼女の元の身体は金魚だ。時々水に浸からなければ干からびてしまう。魚類というよりは両生類に近いものなのだろうか。いや、見た目は完全に人間だけど。
今は俺がいるから気づているが俺がいない時はこういうリスクがあるので(既に前科あり)浴槽に入れてそこで過ごしてもらっている。

(・・・水道代嵩むなぁ)

夏だしシャワー浴だけで俺が済ませば多少浮くか。とかいろいろ節約策を考えぼやっとしていたらシャワーノズルが手から滑った。暴れるシャワーノズルを捕獲した頃にはびしょ濡れだった。

「あー、くそっ、濡れたな・・・」

下着以外の上下の衣服を脱ぎ洗濯機に放り投げると不思議そうに名前がこちらを見ていた。
そこで気づく。
元金魚とは言え女の子の前でパン1になってしまった。

「ごめんっ、醜いもの晒して。すぐなにか着るから」
「?いえ・・・あの、独歩さん。それってなんですか」
「それ?」
「今身につけているものなのです。」

今、身につけている、もの。
パンツ・・・?

「えっと、下着だけど」
「それは何用なのです?」
「何用、・・・と言われると困るが。股間を隠す・・・用?」

あまりしっくりきていない様子だな。

「最後の砦というか、見られると恥ずかしいだろ?」
「そうです?」
と言うや否や名前はぺろっとドレスを捲り上げる。
その瞬間俺の目は彼女のそこに釘付けになってしまった。いや、別に見たいとか下心が出たわけではなくて自然と見えてしまったというか。だって、彼女のそこは下着で隠されていなかった。それに、本当に少女というような感じで・・・

「パ、イ・・・パン」

暫くご無沙汰だった俺には刺激が強すぎる、というか生えてない状態の女の子なんてAVはあるけどリアルで見たことがない。
・・・なんで風呂場の天井見てんだろな。
薄れゆく意識の中名前が呼んでいるのが分かる。そして染まる赤の視界、・・・血が足りない。深刻な血液不足です。



「ん・・・日が、傾いてる」
ほぼ倒れる前の状態でそのままベッドに入っていた。即ちパン1で。名前がベッドまで運んでくれたんだろうな。この前体重測ったら59kgだったから約60kgの俺を運んでくれたわけだ・・・大変だったろうに。

・・・それにしても、29の男が女の子の下半身を見て鼻血出して倒れましたなんて人に知れたら社会的に死ぬ。その時死ななかったことを後悔するに違いない。
自分以外の体温を感じて隣を見ると名前が同衾し、眠っていた。
・・・この状態についてはもはや驚かない。普段からこれで寝ているから。

くしゃくしゃと彼女の頭を撫でる。
それにしても。博識の彼女が下着を知らないとは。
でもそうか、それをわざわざ説明するようなものってそんなにないよな。それに、下を他者に見られることの恥ずかしさとかも金魚にはない、か。
もしくは彼女の言葉を借りればインストールされていなかったのか。

そういえば名前は今もノーパンの状態か。出会ってからずっとノーパンだったのか。
ということに気づくとカッと顔に熱が集まり悶えた。


悪いなと思いつつその日俺は1年ぶりくらいに生身の女の子で抜いた。