06
オレ○ジページの他にも家事教本を求められたので与えた。1ヶ月が経ち、彼女は家事を完璧にこなすようになった。俺の食生活は改善され、そして部屋も綺麗になった。・・・すごいな、一二三と同棲してた時と同じ健康状態だ。
一二三とはもちろん仲違いしたとかではない。一二三がこの前ついに恐怖心が出ない女の子と出会い、その子との女性恐怖症克服合宿中だからだ。よく分からんが。そんなことしなくてもあの子と結ばれればいいのにと思うのだが、その件についてはまた別の話にしよう。
「独歩さん、明日はお休みですよね」
「ん?あぁ、そうだよ」
「じゃあお家でまったり身体を休めれますね!」
「ごめん。明日は病院に行くんだ」
「病院?独歩さん具合が悪いのですか」
ぶっちゃけると常に悪いところがある 精神とか・・・
「半分そうで半分違う、かな」
「半分?」
「あぁ、明日はちょっとなんというか、カンファ?」
「カンファレンス、のことですか」
「そうそう。幼馴染と、病院の先生とチームを組んでて、それで話し合いしなくてはなんだ。」
「そうなのですね。・・・ついてくことは大丈夫でしょうか?私病院というものに行ってみたいのです!」
目をキラキラさせながら興奮気味に病院に行ってみたいなんて言う子あまりいないのではなかろうか。
名前は好奇心の塊だ。この狭い俺のマンションの一室だけが彼女の世界というのも寂しすぎる。
連れて行っても良さそうか。
「病院では騒いだり走ったりせずに静かにすること。約束守れるか?」
「はいっ!大和撫子のように静々と歩きお口はチャックなのですね!しーっ」
「ふふ、しーっ、そうだな」
ぎゅうぎゅうと抱きついてくる名前の頭を撫でてから水の入ったペットボトルとかお小遣いとかが入った肩掛けカバンを渡す。
「水分補給も忘れずに。あと病室とか診察室とか検査室とかは入らないこと。」
「心得ました!・・・じゃあ行ってきますっ」
「15:00にロビーで集合だからな」
見学に旅立った名前の後姿を見送り、俺ははじめてのおつかいの母親の気分になった。
「さて、寂雷先生のとこに行かなきゃな」
病院というものはとても清潔感溢れる場所です。あと匂いは・・・うん、少しアルコールの香り。でも独歩さんが酔っ払って帰ってきたときのアルコールとはまた別の匂いです。
独歩さんは酔っ払うと少し甘えん坊さんになるのでちょっと好きです。
それにしても広い建物です。そして、老若男女沢山の人が来ています。皆さん体調が悪い方なのでしょうか。
でも変わった白い服を着ている人はお医者さんや看護師さんだなというのは分かります。事前にテレビのドラマで予習してきたので抜かりはありません。えへん。
ふむふむ、案内図によると二階より上は入院病棟とやららしく、入院患者さんがいるようです。
とりあえず1番上のテラスとかから攻めてみましょうか。
独歩さんのマンションのエレベーターにも何度か載ったことがあるので操作方法は分かるのですがボタン多い・・・それだけここの階数が多い、高いということなのでしょう。ぽちりと最上階のボタンを押して待ちます。あっという間に最上階へ到着なのです。
最上階には屋上テラス。芝生とか植物とかもありとても安らげます。患者さんたちもちらほら見えます。この最上階まできても空は遠いですね。
池があったので近寄ってみると中には金魚とかメダカ、亀がいました。
「・・・もし、貴方達私の兄弟とかですか?」
問いかけてみるけれど返答はありません。・・・うーん、そもそも私とは系統が違う金魚な気がします。
池の水面に指を触れさせると金魚たちが私の指をぱくぱくと食べようとしてきます。
突然、じくっ、とした痛みが私の頭に走りました。
「・・・わたし、ここ・・・よく来て、たような」
・・・違う?
「ずっと・・・」
この光景は
「1人で、」
もう何回も、何回も見た
「私は、・・・・どっちから?」
私の水槽は、白くて、四角くて、寂しい。