脇役って言うなっ!




「ええか。「クラスの人数は40人」。「3班に分かれていてA班はB班より3人多く」、「B班はC班より5人多い」。ということは―――――――A班の人数はC班たす5人たす3人。つまり・・・・」

「いやこれゼッテー整形!!」

「触ってみないとはっきりとは・・・・・」

「すーすぅー」



皆本のマンションのリビングのテーブルで、宿題を三人に教えている葵。

しかし、教わっている筈の三人は薫は紫穂に雑誌を見せて騒いでいるしなまえは机に顔を伏せて寝ている。

そんな三人に葵はとうとう切れて、テーブルを叩いて椅子から立ち上がった。



「・・・・・って聞けや!!あんたらがわからんゆうからウチが――――――」

「きいてもやっぱわかんねーんだもん!!だいたいそのクラス変だ!!なんで班の人数、バラバラなんだよ!?」

「もういいわ。答えだけ教えて?」

「!!」

「・・・・・・人生のオイシイとこだけつまみ食おうと思うなっ!!」



にこっと笑い紫穂は葵に触れようとするが、葵はその前に瞬間移動で逃げる。

それにムカッとした薫は念動力を使い葵に攻撃する。



「いーじゃんかケチッ!!」

「やるか、コノ!?」

「ふたりともやめてー。(棒読み)」

「・・・・・・うるさーいぃ!!」

「なまえちゃん?」



薫と葵が喧嘩しだしたことで起きなまえは、ギロッと二人を睨み口を開く。



「安眠を邪魔する悪い子にわぁぁあ!!世にも恐ろしい悪夢を!!」

「え?ちょ!本当かよ!?」

「強制催眠能力!!」

「「い、いやぁあああ!!」」

「ひとんちで超能力戦をするなああーーーッ!!って、なまえ!!催眠能力は使っちゃ駄目だろッ!!」



騒音に気付いたのか、リビングに入ってくる皆本。

皆本に叱られたなまえはけろっと言い返し、催眠攻撃から解放された葵が文句を言う。



「安眠は大事なんだよー。」

「だってこいつらが―――――」

「教えてやってくれ、葵!今、電話中だから静かに!ですが局長・・・!!はい、いえ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」



文句さえも皆本に聞いてもらえない葵は、皆本を不満そうに見つめる。

そんな葵に薫は言った。



「あたしたちチームじゃん!?サポートすんのは当然―――――――」

「薫、」

「あんたら・・・・・・いっつもそうや!」

「え?」

「現場での移動にはウチを頼るけど、最後の手柄はそっちのもんや。ウチ、損してばっかり!」

「「!!」」

「・・・・・!?」



拗ねたように言う葵に、薫も紫穂も戸惑いを隠せない。

なまえは黙って葵を見ている。



「な、なに言ってんだよ、お前・・・!?」

「あたしたち、別にそんな・・・・・・」

「そんな気ィなくても、そういうもんやの!」

「葵・・・、」

「ハデで手ェかかる子のほうがみんなに可愛いがられるもんやしな!」



薫や紫穂、なまえに背を向けて言う葵。

そんな葵に皆本はリビングに顔だけだして葵を呼んだ。



「おい、葵・・・・!!」

「!!」

「急な単独任務の話が来てるんだけど・・・そーゆーことならやってみるか?」

「えっ・・・・」




















「この荷物を――――皆本はんと一緒に総理大臣に届けたらええねんな?」

「首相から直接の依頼だ。大事な品物を忘れてしまったと・・・」



ヘリの中、首相に届ける品物が入っているスーツケースのそばにしゃがむ皆本とそれを嬉しそうに見る葵。



「首相は現在、明日の国際会議のため、ストックホルムに滞在中だ。あと5時間――――現地時間の午前0時までに届けてくれとの要請があった。」

「目立たず届くように、我々に動いて欲しいとのことだけど―――直線距離にして約8千キロのマラソンだぞ。」

「大丈夫!!単独任務ってウチ、初めてやからやりたい!!」



























「葵のやつ、大丈夫かなー。」

「心配しなくたって大丈夫だって〜」

「それはなまえちゃんの予知?」

「そうだよ。それに、葵は僕たちチルドレンの一員だよ?絶対無敵な僕らが負けるわけないじゃないか!」



両手を腰にあて、胸をはるなまえ。

そんななまえを見て、不安そうな二人の表情が和らぐ。



「がんばれ、葵・・・・・・・!!」

「葵ちゃん・・・・・・がんばって・・・・・・!!」

「・・・・・・(僕は捨てられた皆本でも拾いに行こうかな〜)」



ベランダで葵を応援している二人を見て、にっこりと笑いながらなまえは瞬間移動した。



















「やっほ〜皆本。」

「わぁ!?・・・なまえ!?なんでここに・・!?」



葵を見送った皆本は、突然後ろから肩に置かれたなまえの手に飛びあがった。

そんな皆本をなまえはおかしそうに笑ってから一言簡潔に言った。



「僕だけの得意技。」

「・・・・そんなこと聞いたの初耳だけど?」

「あれ?言ってなかったけ?」



可愛らしく首を傾げてとぼけるなまえに、皆本はため息をついた。



「・・・・まぁいいや。とりあえず救援がくるまで・・・・」

「その必要はないよ。僕は皆本を迎えに来たんだからね!」

「まさか、例の特技・・・・・?」

「そう!でも、本人以外は大変なことになるらしいから・・・・・・頑張って?」

「は?え?ちょ、ま!?」

「長距離瞬間移動!!」



なまえがそう言った直後、その場からは二人の姿は消えていた。

皆本の断末魔を残して―――――





























「よくやったナ葵!首相本人が泣きながら「金一封と感謝状を届ける」と電話してきたヨ!葵個人でなく「チルドレン」宛にしてくれと言ったそうだが――――?」

「ウチら、チームやからな!ひとりはみんなのために!!」

「・・・みんなはひとりのために――――ってか?」



局長の言葉ににこにこと答える葵の言葉をこれまた嬉しそうな薫が続ける。

仲直りした三人をなまえは横目にしながら、ソファーに寄りかかり、目を閉じた。



「(首相のあのケガはいったい・・・・・・?いや、まさか・・・)」



一人、皆本だけTVに映る、包帯を巻いている首相をみて不安を抱えていた。















(辛くたって、みんなのためなら!)

2018.01.17

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