混乱の真っ只中
「恋!?そう言ってた!?マジで!?」
「うん。なんか不思議な人ね。」
「局長は、殺人犯の極悪人て言うてたけどな。」
「・・・・・・・・・」
紫穂と葵は口々に薫に言うが、なまえは何故かぼーっとしたままだ。
薫は兵部に言われた言葉を思い出した。
『―――できたじゃないか。君はまだまだ強くなれる。』
「・・・そんなふうには見えなかったな・・・・・・・・・・・あたしにだけは甘い美形の極悪人・・・!!うっわ、ステキ!?」
「冗談じゃないよ!!あれは変質者だ!!」
薫がうっとりとしていると、皆本が病室のドアを強く開けて入ってくる。
「今度現れたらすぐ連絡しろよ!?ま、僕が今、脱出不能な新型独房を設計中だけどな!!」
「あっれ〜〜〜〜?妬いてんの皆本?バッカちっげーよ!!そんなんじゃねーよっ」
「だ、誰が―――――――」
「あっウチも!」
「ずるーい、私も〜〜〜〜!!」
なまえを除く皆は皆本に抱き着く。
相変わらずなまえはぼーっとしといる。
皆本は薫達に呆れ、ぼーっとしてるなまえに声をかけた。
「(・・・・・・気楽だな〜〜こいつらは・・・・・!!)・・・・・?なまえ?どうかしたか?」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・なまえ?」
声をかけても反応しないなまえを心配した皆本はなまえの肩に触れようとするが。
「や、やだ!!やめてッ!!」
――ドンッ!
「ぐはっ!!」
「ごめん、ごめんなさい!お願いやめて・・・・!!」
なまえに触れようとした皆本はなまえの念動力で壁に押し付けられる。
なまえは頭を抱えて、苦しみだした。
「なまえ!?」
「ぐっぐぅう・・・・」
薫達は驚きに声をあげている。
苦しそうな皆本。
「違う、違うの、わたくしは、僕は・・・・!!」
「なまえっ!!」
薫が強くなまえを呼べば、なまえは顔をあげ、皆本を押し付けるのをやめる。
「僕、僕、・・・・ごめん、皆本ごめんね・・・・・・」
「・・・・・僕は平気だけど、なまえ、君は大丈夫なのか?」
「・・・大丈夫、大丈夫だよ―――――」
皆本に言うよりは、自分に言い聞かせるようになまえは言った。
目に涙を溜めながら、そっと皆本の手を握り治療を始めるなまえ。
病室内は静けさに支配された。
「フン、「待っててやるから」だって?僕はもう待つのに飽きたね。」
兵部専用の独房に張られた紙にはこう書いてあった。
一身上の都合により出所致します。
兵部京介
「でも・・・・今回はなまえがちょっと思い出しただけでも収穫かな、」
嬉しそうに呟き、兵部は独房から瞬間移動した。
誘惑者
(誰が味方で、誰が敵なのか、僕はわからなくなった、)