猛毒注意
「よし・・・・・・!!ATMはいただいた!」
「重機は捨てていけ!」
深夜、クレーンでトラックの荷台にATMが乗せられる。
強盗のようだ。
「・・・そうはいきません。あなたたちの犯行は五分前に予知されました。すぐに警察も来るわ。」
「!!」
男達の行く先を塞ぐように人の女性が立っている。
しかし、足は地面には着いておらず浮いている。
身に纏っているのは特務エスパーの制服で、風に煽られスカートがはためく。
「と・・・・・特務エスパーかっ・・・!!」
「はい。コードネーム「キティ・キャット」、任務遂行させていただきます!!」
超度6 念動能力者
梅枝ナオミ (16)
「念動―――失神制圧!!」
念動力でスピードを加速し、犯人達をあっという間に倒すナオミ。
「よくやった!警察の到着まで犯人の身柄を確保!」
「はい、谷崎主任!」
中年のスーツ姿の男性の言葉にナオミは笑顔で応えた。
「キティ・キャット」現場運用主任
谷崎一郎一尉(36)
「「ザ・チルドレン」に次ぐ、貴重な「超度6」・・・!!まだ若いが仕事は正確・確実!おまけに清楚で上品、素直で真面目で美しい・・・!!彼女こそまさに理想の特務エスパーなのだ!!」
拳を握り、笑顔で力説する谷崎。
葵は不機嫌そうに言う。
「イヤミに聞こえるんは気のせいか?」
薫はテーブルの上に座り、意地を張るが静かに紫穂に突っ込まれる。
「なーに、あたしだってすぐあーなるねっ!!」
「無理よ薫ちゃん。」
「・・・・・・・眠い。」
なまえは眠そうだ。
谷崎はどわはははっと腰に手をあて偉そうに笑う。
「うらやましいかね!?うらやましかろう!?皆本君!!」
「え・・・えーと、今答えなきゃダメですか?」
チルドレンに睨まれ、汗をかく皆本。
「で、その「キティ・キャット」が「チルドレン」に何か・・・?」
「うむ、じつはな・・・・・・・」
――カタン! ヒュッ
「!」
「!!」
「あ、」
天井からなまえ、薫、ナオミに向けて盥が降ってくる。
「な・・・何?」
「・・・ふわぁあ、」
「きゃ・・・!!」
薫となまえは難無く念動力で盥を防ぐがナオミだけは盥に当たってしまう。
そして何故か皆本のパソコンが浮き、皆本の顔面にぶつかる。
「あ・・・す、すいません、ごめんなさい!!」
「・・・と、このよーに彼女は今、深刻なスランプに陥っていてね。超能力がうまく使えないのだ。」
「体には何も異常がないそうですし、同じ念動能力者で同じ超度のみょうじさんと「超度7」の明石さんに何かアドバイスをいただけないかと・・・私、早く治して主任の期待に応えたいんです・・・!!」
悲しそうに俯いて言うナオミに谷崎は泣きながら皆本に叫ぶ。
「いいコだろ!?いいコだよな!!12の時に私が見いだして教育してきたのだ!!こんなにも愛らしく美しい私のナオミのために、少し時間を割いてはくれまいか。」
「そりゃ喜んで協力しますが―――――」
ナオミの肩に手を置く谷崎。
そこで皆本はカタカタと自分のパソコンが動いているのに気がつく。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「(紫穂・・・!!)」
「?」
皆本は人差し指だけで紫穂を呼ぶ。
紫穂は自分を指さしてから、皆本を透視る。
「(薫より君の出番かもしれない。まかせるから助けてやってくれ。)」
「(了解。)葵ちゃん。」
「ほな、女の子同士で話そか!」
「え、」
「ちょっと行ってきまーす!!」
葵の瞬間移動でなまえ達とナオミは第5修行室に行った。
「あの・・・・・・心理探査なら精神感応能力者の方にやってもらいましたけど・・・・・・・・・」
「でも「超度7」は私だけよ。ナオミさんは自制心が強そうだから――――ふーん、(なるほどね・・・・・・!!)」
ナオミを透視てから何かに気付いたのか、紫穂は立ち上がりナオミに提案した。
「ね、ナオミさん。薫ちゃんと戦ってみない?」
「!!」
「でも・・・今の私じゃ勝負も何も・・・」
「平気。葵ちゃんと組めば逃げることはできるわ。薫ちゃんが攻撃するのはナオミさんの服だけ。反撃は本気でやっていい・・・ってのはどう?」
「な―――――――!?な、なんスかそのエロエロなルールはっ!?いーんスか!?マジっスか!?」
「・・・・・・・落ち着きなよ薫。」
一気に興奮しだした薫になまえは冷たく言った。
ナオミも若干引いている。
「な・・・なにこのコは?」
「気ィつけて!こーゆー奴ですねん!」
「あのね、薫ちゃん。・・・・・・・・・」
「・・・・・・・!!」
紫穂は薫にこそこそと耳打ちをする。
なまえは自分の出番がないと思ったのか、寝る体制だ。
「ふーん、そーゆーことなら!!」
男性ホルモンオン!!
オヤジスイッチ入ります。
「「ナオミ16歳」!!「衝撃のセミヌード」食わせていただきますッ!!」
「ひい!?」
カッと目を光らせた薫を見たナオミと葵は身をすくませた。
「念動―――真空鎌鼬ッ!!」
「あぶないッ!!」
先手必勝とばかりに薫は攻撃を開始する。
それを避ける為に葵は瞬間移動するが、ナオミの服の胸部が破れてしまう。
「!!きゃーーーーーッ!!」
「悲鳴がまたキャワイイなあもうッ!!ウイウイしーーッ!!」
バッと悲鳴をあげて胸元を隠すナオミに薫はさらに鼻息を荒くする。
「あかん・・・!!いつもより速い!!完全なオヤジやっ!!ランダム影分身ッ!!」
「あっ、手元がくるっちゃったー」
焦った葵は瞬間移動で分身を作る。
しかし薫は的確に葵とナオミの位置を感じとりナオミのセーター、そして葵のスカートが破れて消てしまう。
「わあああッ!!こいつワザと・・・!?見切られてるッ!!ナオミはん反撃してっ!!狭い空間で逃げ回ってもやられる!!」
「で・・・でも、超能力が・・・・・・・!!」
涙目になりながら胸元を隠し、片手を上げて必死に抵抗するナオミ。
しかし、薫には効果がなくゆっくりとナオミに近づいてくる。
その姿は本物のおっさんだった。
「クックック・・・・・それだけかな〜〜〜〜〜〜?次はおいちゃんの番だよ〜〜〜〜〜?」
「(ま・・・まるで本物のエロオヤジ・・・!!)」
ゾワッとナオミに悪寒が走る。
「・・・・・・そろそろかな、」
「そうね。」
ぽつり、となまえが零しそれに紫穂が返事をする。
とそこでナオミが何かに気付く。
「(はっ・・・・・・!!なんだか今――――――心の中で抑えていた何かが・・・!?)
ナオミは不思議そうに自分の掌を見つめる。
薫は鼻息が荒く、よだれまでまらしている。
「ど〜こまで行くのかな〜〜〜〜〜?ホラホラ〜もう逃げないのかい〜〜〜〜〜〜〜?」
「その調子よー薫ちゃんー。」
紫穂がニコニコと薫を応援する。
――ピシッ
「―――――――!!」
薫を見たナオミの脳裏に、ある男の顔が過ぎる。
「こ・・・この・・・!!エロオヤジがあああああッ!!」
「!!」
ボオォッとナオミが力を勢いよく解放した。
「遅い!いつまでどこで何をやっとるんだあの子たちは・・・・・・・!?」
多くの煙草の吸い殻で埋められた灰皿。
谷崎はいらだしげに煙草をふかしながら言う。
「相談にのってもらうのはいいが―――――君の「チルドレン」はかなり下品だからな。ナオミが汚染されてなければいいが・・・!!」
「上品下品と超能力は関係ないでしょう!?」
谷崎の言葉に皆本はムッとして答える。
そんな皆本に谷崎は偉そうに言う。
「あるとも!!私はあらゆる点で彼女を理想の女性に育て上げたのだからな!!」
「理想の・・・・・・「女性」!?」
きょとん、とした顔な皆本に言う谷崎はまさにエロオヤジだった。
「今どき理想の女がそこらを歩いてるわけないからな!!この手で作り上げ、あとはもうすぐ収穫するのみ!!」
「うっわ最低だコイツ!!あんた、部下のエスパーに自分の理想を押しつけてんのか!?それもアホな男の欲望のために!?」
「本人が嫌がってなきゃいーじゃん!」
怒鳴る皆本に谷崎はけろっと言う。
――ズン!!
「よかねーよ!!」
「!!」
「イヤなんだよ!!てめーのその脂ぎった目ツキとか、ヤニくせえ手とかがよー!!」
突如皆本と谷崎が居た部屋の壁が破壊され、チルドレンのブレザーを羽織ったナオミが乱入してくる。
普段の彼女からは想像のできない怒りに満ちた表情で、腰に手をあて仁王立ちだ。
「ナ、ナオミ?」
不思議そうな谷崎。
紫穂はひょっこりと現れ説明を始めた。
「彼女根が素直で真面目だから・・・・・・育ててくれた主任を、拒絶したい気持ちを抑えつけていたの。」
「それがスランプの原因だよ。」
にっこりと紫穂に続き結論を言ったなまえ。
「あたしの芝居が感情解放のきっかけになったわけだネ!」
「ホンマに芝居か、あれ。」
「半分くらいは本気だったんじゃない?」
笑顔の薫に反して葵の顔は青かった。
薫は皆本の肩に乗っかりへっへっへっと笑う。
「皆本もあたしたちを理想の女にして嫁にしたい?」
「いっ、一緒にすんな!!だいいち―――――――僕の理想通りの君たちなんか、君たちじゃないだろ。」
「どーゆー意味やろ?」
遠い目で言う皆本に葵は不思議そうな顔をした。
ちなみに谷崎はナオミに念動力で壁に押さえつけられていた。
「死ねエロオヤジ!!中年は中年とつきあえ!!」
「こっ、これはこれである意味たまらん理想形―――――!?」
「・・・・・ナオミちゃんのコードネーム、次は「ワイルド・キャット」かな・・・・・・・・、」
プリンセス・メーカー
(収穫なんて、さいてー!)