中身は子供 体は・・・?


『もっと早くお出になれば良かったのです。なぜ好きこのんで刑務所などに・・・・・・・』

「表向き拘束されていた方がかえって目立たない。指示を出すだけならあれが好都合だったのさ。あっちには「花嫁」がいるし。」



ビルが幾つも立て並ぶ都会にある群を抜いて高い高層マンション。

その一室。



「それに、君らに任せれば予知通りに運んでくれることは間違いないしね。」

『おそれいります少佐。資金も人材も十分基礎は整いました。時が来るまでいましばらく自由をお楽しみください。』



豪華な一室には、兵部がいた。

彼はパソコンに向かい、誰かと通信しながら、学ランを着る。



「ありがとう。これからはちょくちょく「女王」と「花嫁」の成長を見に行くつもりだよ。ついでに――――いぢめると面白いオモチャが見つかったものでね」



くすくすと笑う兵部の顔は何か悪巧みをする子供のようだった。






























「今日はオモチャは買わないって言ってるだろ!?ダメっつったらダメ!!」

「ヤダーーーー!!買って買って買って買って買ってえええーーーーーッ!!」



とあるショッピングセンターのオモチャ売り場。

薫は泣きながら床の上で手足をばたばたと振り、駄々をこねていた。

なまえ達は呆れた表情だ。



「しつけの悪い幼稚園児かお前はッ!!」

「ただのオモチャじゃないんだよ!!激レアの限定品!!」



怒鳴る皆本に対抗するようにオモチャを見せる薫。

箱には『今夜は本命 モガちゃんオトナの勝負ランジェリーセット』と書いてある。



「これ多分最後の売れ残りだよ!?次はオークションで倍額出さねーと手に入らないって!!」



そんな薫になまえ達は口々に言う。



「もう行きましょうよ。今日は映画をおごってもらう予定で来たんでしょ?」

「そんなに欲しかったら自分の貯金で買いいや!」

「なんなら僕がが買ってあげてもいーんだよ?」

「「「いや、それは1番ダメ!」」」

「・・・・・冗談だよ。」



なまえの言葉に薫以外の全員が即座に否定する。

なまえはそれに苦笑いした。



「葵、エスパーは宵越しの金なんか持たないんだよッ!!」

「行くぞ。」



地面にぺたりと座り込み、悔しそうに拳を握る薫を置いて皆本は葵と紫穂、心配そうに薫をみるなまえを連れて、すたすたと歩きだす。



「じゃあさじゃあさー、せめて・・・今日の映画は―――――」

































――ギ・・・ギギ・・ギ







「・・・・・!!」



一人の女性に何かが迫ってくる。

何かを感じとった彼女が振り向く。

彼女の目はとらえた、地面にはいつくばっている顔が血だらけの髪の長い女を。



「キャアアアーーーッ!!」









――ギョエー! グシャ! ブシュ!



「いゃあああーーーっ」












「(・・・くだらない、科学的にありえん!子供だまししだけどまーその分―――――子供には丁度いいってことか?)」



映画の悲鳴やらなんやらに意をかさず、つまらなそうにポップコーンを摘む皆本。



「あ〜〜〜怖かった・・・・・・!!」



映画が終わり、皆本は自分にしがみつく薫と自分の袖を摘みながら泣くなまえをちらっと見た。



「じゃ、そろそろ―――――・・・っておい!?そんなに!?」




パッと館内が明るくなり、席を立ち上がった皆本は真っ白に固まった葵と紫穂を見つけた。






























「わ、私はね、現実的な相手なら猟奇殺人犯だって怖くないのよ!!でもお化けとか幽霊はちょっと・・・・・・・・」

「う、うぅ・・・・・ぐずぐず。僕、グロテスクな物、ダメなの、」

「くっくっく・・・・・・」



いつも冷静な紫穂が焦ってている姿と目を真っ赤に染めていまだ泣いているなまえに皆本は笑いを堪えきれていない。

葵は薫に文句を言う。



「だからホラーはイヤやてゆうたのにっ!!」

「えーでも面白いじゃん!?」



そんななまえ達を見ながら皆本はくすくすと笑う。



「(いやー、でも少し安心したよ。)」

「「ふだんマセた口をきいてても」、「四人とも中身は全然ガキなんだよな―――――」。・・・って思ってる!」

「ガキって言うなーーーー!!」

「がッ!!」



皆本を透視た紫穂の言葉に、薫は怒って念動力で皆本をエスカレーターから地面に突き落とす。

葵はすかさずツッコミをいれ、なまえはショックから立ち直ったのか欠伸をしている。



「いや、言うてへんけどな。」

「ほわぁあ・・・・・皆本いたそー。・・・・・・!!」



なまえがピタリ、と立ち止まりエスカレーターの上を見上げる。

何か予知したようだ。



「薫、お前な―――――!?」



なまえと同じく、薫に文句を言う為に顔を上げた皆本もエスカレーターの上を見て固まった。



「!!(兵部京介・・・・・・・・・!!)」

「(なん、で、兵部京介が・・・・・・)」



エスカレーターの上に居たのは兵部で、彼はなまえに笑顔で手を振ってからくるりと後ろを向いてどこかに行ってしまった。

それを見た皆本は懐に手をいれながら厳しい表情で葵に命令する。



「葵!なまえ達を連れてテレポートで先に帰宅!!」

「え、でも。」

「急用ができた!命令だ!!」

「了解・・・・・・・!!」



なまえは自分も一緒に行こうと皆本に声をかけた。



「みなもと、僕も「ダメだ!なまえも葵たちと帰宅!!」



だっと力強く走り出した皆本の背中を見ながらなまえは葵の瞬間移動で強制的に帰宅した。























「兵部ッ!!」



デパートの駐車場に皆本の声が響く。



「そうカリカリするなよ、皆本クン。休日なんだろ?」

「!!」



柱を壁に銃を構えた皆本の後ろに、兵部は突然現れる。



「それに怒るのはこっちさ。キミは勝手に僕の「花嫁」、「女王」とデートしてたんだからな。」

「お前の冗談につきあう気はない!!付近で待機中の護衛スタッフもまもなくここへ―――――えっ!?」



くすくすと笑う兵部に皆本は銃を構えるが、皆本が手にしていたのはイルカの水鉄砲。

イルカの口からはかわいらしく水がびゅーっと飛び出してくる。



「護衛の連中は来ない。全員眠ってもらってるからね。」

「く・・・!!(資料によればこいつは半世紀前、発足したばかりのバベルで――――20人以上の職員を殺害してる・・・!!しかも――――)」

「そう、その中には僕の相棒も含まれてる。」



余裕な表情な兵部と対峙し、焦りはじめた皆本。

兵部から言われた自分の思考がさらに皆本を焦らせる。



「!!精神感応・・・!!」

「僕はね、キミみたいな、エスパーに物わかりのいいフリをしてる野郎が大嫌いなんだよ。なまえも同じ気持ちのはずさ。信じて裏切られたことがあるんでね。」

「・・・・・・・!!」



なまえの名がでたことと、訳のわからない話に皆本は眉をひそめる。



「だから僕はキミのことも信用してない。キミみたいな奴はいずれ必ず――――――自分の担当するエスパーに手を出すねっ!!」



手の甲を口にあて人を馬鹿にしたような目の兵部の言葉に、思いきりずっこける皆本。



「出すかーーーーーッ!!お前みたいな変態と一緒にするなッ!!」



次の瞬間には素早く起き上がり、皆本は白目をむく勢いで叫んだ。

皆本の言葉にむっとする兵部。



「誰が変態だ!」











――バババババババッ













「!」



建物の真横に現れたバベルのヘリコプターに、兵部が気付く。



「!!やはり貴様かッ!!兵部少佐ーーーーー!!」

「桐壺?」

「あんたの催眠能力のことはもうわかってるからな!護衛スタッフからのコールサインが途絶えたらすぐに応援が来ることになってるんだ!」

「あのコたちに貴様のよーな悪い虫は近づけんーーーー!!撃てーーーーッ!!」



局長は叫びながらヘリコプターに装備されている銃で兵部を狙う。



「わ、ちょっと!?局長――――!!」

「見境ないなあいつは。」



皆本が居るにも構わずに銃を乱射する局長。

ちなみに兵部はちゃっかり柱の影に隠れて銃弾を防いでいる。



「ま、キミも「悪い虫」にはにがいないから」

「黙れロリコンエロジジイ!!」



にやにやと皆本をからかう兵部。

皆本はそれに血管が切れそうなぐらい怒鳴り返す。



「その保護者面は5年も続かないぜ。そうだ、証拠を見せてやろう。」

『ま、せいぜい頑張ってみな!』



楽しそうな笑い声だけを残し、兵部は瞬間移動した。



「捨て台詞に失礼なことを言うなッ!!二度と来るな変質者ーーーーッ!!」



皆本は力一杯叫んだ。



「非常線を張れッ!!」

「周辺にECM展開!!」



兵部が去った後も、周囲は騒がしかった。































「つ・・・疲れた。」



怠そうに皆本はマンションに帰ってきた。



「あの野郎――――――次は・・・絶対逃がさない方法を考えて・・・・・・・・・・・」



ネクタイのみを外した状態で、ベットに倒れ込む皆本。



「・・・・・・・・・・」



薫が起き上がる。

眠たそうに目を擦りながら薫はトイレへ行った。



「むにゃ・・・」



殆ど目を閉じて手探りで進み、皆本のベットへ侵入する薫。



「!!」



皆本はガンッ!とベットに潜りこんだ薫に顎を蹴られる。



「つ・・・!!また寝ぼけたな薫・・・!?」



蹴られて目の覚めた皆本は電気スタンドのスイッチをいれ、眼鏡をかけながら布団をめくる。



「部屋間違えてるぞ!おい、戻れ!こっちは事情聴取やら報告書やら―――!!!」



めくった布団からのは勿論薫だった。

しかし、薫の体つきはどうみても大人だ。



「わ・・・わあああああーーーーーー!!」



皆本の足に自分の足を絡ませて眠る薫に皆本は思わず力いっぱい叫ぶ。



「どないした、皆本はん?」

「あ!薫ちゃんばっかりズルいー!!」

「・・・五月蝿いよ皆本。」



眠たそうな葵は紫穂となまえを連れて瞬間移動してくる。



「え・・・!!」



三人を見た皆本は、驚きで声を漏らす。

なまえ達もまた、薫と同じ様に大人の姿だったからだ。




―――証拠を見せてあげるよ。





皆本は兵部の言葉を思い出す。



「あ・・・・・・あの野郎、あの時僕に何か・・・!?」

「お・・・?皆本!お帰り――――」



目が覚めたのかむくっと起き上がった薫。

薫はそのまま皆本に接近する。



「なあ、皆本おー、やっぱ昼間のアレさあ、どーしても欲しい・・・!!いっしょ〜〜〜のお願い!!いい子にするからさあ・・・買って?」



可愛いらしくおねだりする薫に皆本の心はぐらぐらと揺れる。



「(ヤ・・・・・・ヤバイ!!)」

「(・・・・・・・そーゆうことね、)」



一人なまえだけは静かに状況を悟った。

2018.01.22

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