あてもなくさまよう

―――キーーン コーーン カーーン






「よしっ!!終わった!!」

「行くで!!」

「オーケー!!」

「あ、待ってよ!!」



学校のチャイムが鳴ると同時に慌ただしく席を立ち上がりランドセルを背負う薫達。

勢いよく教室を飛び出していく三人を焦りながら追うなまえ。



「あ、ねえ、明石さんたち―――――今日の宿題さ・・・・・・・・・・・!?」



ちさとは四人を追って階段まで行くが、そこには誰もいなかった。



「あれ?」































ヒュッと瞬間移動した四人。



「えっ!?」



シャワーを浴びていた皆本は唖然とする。



「よかった・・・・・・!!」

「まだ行ってなかった!!」

「だーーーーっ!!」



皆本の上に落ちる四人。

もちろん皆本は四人のせいで床に叩きつけられる。



「あ・・・!!」

「や・・・!?」

「あぅッ・・・・!!」

「・・・・・・・・・」



立ち上がった皆本を見て顔を赤く染める四人。

シャワーの途中だった皆本は何も着ていないからだ。

なまえを除く三人は赤くなりながらもじーーっと皆本を見ていた。



「でっ・・・!!出てけーーーーっ!!」



慌てて物を投げ付ける皆本。

四人は、わーとかきゃーとか言いながら走り出した。



「あ、あいつら〜〜〜〜〜〜!!速攻で帰ってきやがって・・・」



シャワーを終え、髪を拭きながら愚痴る皆本。



「さては――――・・・・・・・・・・・」



着替え終わった皆本は、チルドレンの部屋のドアを少し開け部屋の中を覗く。



「急げーーーっ!!」

「ああっ髪が・・・!?」

「やだっこれじゃなかった・・・!!」

「・・・・いや、散らかし過ぎでしょ。」



部屋の中に居たのは急いで出掛ける支度をする薫達と、それを横目で眺めるなまえだった。

ちなみになまえもちゃっかりと綺麗な服を着ている。



「(だ・・・・・・・・・ダメだ!!ついてくる気満々・・・・・!!)」



脱力しかけた皆本。

そんな彼の耳に玄関からチャイムの音が届く。



「み〜〜な〜〜も〜〜と〜〜君!!あ〜〜〜そ〜〜〜ぼ〜〜〜!!」



にかっと笑いチャイムを押した張本人の賢木。

皆本はドアを開けた瞬間に、勢いそのまま叫ぶ。



「こっそり来いっつったろ!?」

「いや〜〜困ってるんじゃねーかなと思ってさ。助っ人を連れてきたぜ。」

「!!」

「やあ、こんにちは。」





合成能力者

九具津 隆(21)





「今日は呼んでくれてありがとう!合コンかあ・・・・・・・!!楽しみだなあ」



にっこりと笑いながら、九具津は肩にしょっていた大きなかばんを下ろした。



「おっしゃあ!!」

「準備オッケーーーー!!」

「ちょっと気合い入れすぎかしらね?」

「まぁちょっと派手なぐらいが僕ららしいよ。」



いかにも一仕事終えましたみたいないい表情でポーズを飾る四人。



「・・・・・・・・あれ?」



そーっとリビングを覗いた三人は目をまるくした。



「皆本・・・!?」

「まだいる・・・・・・!?」

「・・・・・・・・・・・」



皆本はリビングのソファーにぼーと頬杖をつきながら座っている。



「お前、出かけるんじゃなかったのかよ!?」

「ん!ああ・・・行くのはやめたよ。今日はテレビでも見よう。」



薫が驚きながら声をかけると、皆本は少しだけ薫のほうを向いてから再びまえに向き直る。



「・・・・・・・・・!?」

「!!」



しかし、向き直った皆本の視線の先にあるのは映像の写っていないテレビ。



「・・・・・・・・・・・・」



皆本はそれをただ眺めていた。

不思議に思った紫穂は、皆本の肩に触れ、透視む。



「!!薫ちゃん!!これ・・・・・・・皆本さんじゃない!!」

「え・・・・・・・!?」



驚き叫ぶ紫穂に言われ薫は、念動力で皆本(と思われるもの)に攻撃をする。

すると、皆本(らしきもの)はゴキゴキと分解し、砕ける。



「!!」

「に・・・・・人形!?」

「しまった!!賢木の他に合成能力者もいたのか・・・・!!」



























「・・・・どこだよ!?」

「この辺なのはまちがいないんだけど・・・・・仕切ってたのは賢木さんだったみたいなのよ。スキをみて透視しようとはしてみたんだけど・・・・・」



街の上空で話している薫と紫穂と葵。



「高超度エスパーの心を読むのはすごく難しいの。よっぽど強力に透視するか、完全に油断して無防備な時じゃないと・・・・・・・・・」

「まして、同じサイコメトラーやもんなあ・・・」

「くそーっ!!いつの間にかなまえもいねぇし・・・・!!」



困ったように言う葵と紫穂の言葉に、薫は苛々と叫ぶ。



「この灯りのどこかで皆本のヤツ・・・・・・!!イイコトしてんだな!!チクショーーー!!」

「フケツーーっ!!許さへんで皆本はんっ!!ついでになまえも!!」

「よしなさいよ。」



うがーーッやらあほんだらーやら叫ぶ葵と薫に、紫穂は苦笑い。



「ん!?」



紫穂はどこからか聞こえてきた、聞き覚えのありすぎる声に気がつく。



「許さん!!許さんぞナオミーーーっ!!」

「いーかげんにしろッ!!この変態指揮官ッ!!」

「あうっ」



声を荒げて谷崎を蹴飛ばすナオミ。

蹴られた谷崎はうれしそうだ。



「これは皆本さんの手伝いで、大事な任務だって言ってんだろ!?」

「ナ・・・・・・・ナオミちゃん!!」

「!!あら、みんな・・・!!」



薫たちがナオミのもとに降りてくる。

ナオミは薫たちに気がつくと、ころっと態度を変えて笑いかける。



「あなたたちも一緒ね?」

「一緒って・・・・・?」

「任務のことなら私も知ってるから話して大丈夫よ。スパイ狩りなんてイヤな任務だけど―――――バベルの情報がこれ以上反エスパー団体に流れるのをふせがなきゃ・・・!!」

「!!」



険しい表情で話し続けるナオミ。



「情報を流している可能性があるのがエスパーだなんて最低ね。仲間を疑うのはイヤだけど、裏切り者を許すわけにもいかない!!」

「エスパーが・・・・・!?そんな・・・・・・・!!!」

「そうか・・・それで・・・!!」

「接待してくつろがせてこっそり透視するために賢木さんが・・・・・・・・・・・!!」



驚くチルドレン。

ポツリと薫がつぶやく。



「じゃー本当に任務だっただ!?」

「え!?皆本さんから聞いてないの?」































「ごめんなさい!谷崎主任を巻くのに時間が掛っちゃって・・・・・・・!」

「ナ、ナオミちゃん!?」

「お、来た来た!」



ぱたぱたと走って店の中に入ってくるナオミ。

ナオミを見た皆本は、驚き叫んでいる。



「賢木!お前、もう一人呼んだって言ってたけどそれって・・・・!!」

「ああ、紹介しよう!梅枝ナオミちゃんだ!!」

「初めまして!賢木さんに誘われてきました。」



賢木に名前を呼ばれ、ぺこりと頭を下げるナオミ。



「ダブルフェイスはナオミちゃんのこと知ってるんだよな?」

「ええ。だって寮が同じだもの。」

「てことは知らないのは九具津だけってことか。」

「そうじゃないのかな。・・・・初めまして、ナオミさん。僕は九具津 隆。」



にっこり笑う九具津。

それに笑顔でお辞儀をし返すナオミ。



「初めまして九具津さん。ナオミです。」

「二人ともそんな堅苦しいのは、なしにしてもっと気楽にしようぜ!」

「はい!」






























「え〜〜〜それでは、部長のオホーツク支社栄転を祝して・・・カンパーーーーイ!!」

「・・・・・・・・」



微妙な空気の部屋を勢いよく開けた薫たちは唖然とした。



「あ・・・・・あれ!?」

「「賢木」さまは電話でキャンセルなさっていますが・・・」

「え・・・!?」



店員の人が困ったように言った。

ナオミは戸惑いを隠せない。

谷崎が焦った表情で店の中に入ってくる。



「ナオミ!!妙だ!!通常回線も緊急回線も通じない!皆本君も賢木君もだ!」

「あたしたちのコールにも応答ないよ。」

「任務中に連絡が取れず指定の場所にもいないということは・・・何かあったとみるべきだ。」

「・・・・・・・・・!!」



谷崎の言葉でみんなに緊張が走る。



「スパイの捜査中にトラブルってことは・・・・・・・・・」

「皆本はん危ないんとちゃうか!?」

「それと、なまえちゃんにも連絡が取れないの、」



紫穂が深刻な顔をして言う。



「そうだなまえのやつ・・・!!あいつ、気づいたらどっか行ってたんだ!!」

「なまえちゃんが?」

「せや。皆本はんを見失うまでは一緒におったのに・・・・・・!!」

「もしかして、なまえちゃんはこのことを予知していたんじゃないか?」



谷崎の言葉に静かになる一同。



「・・・・・あのバカ・・・・!!なんであたしたちに手伝わせなかったんだよ・・・・・!!」





























「・・・・・・・・ったく。バカな奴だよな――――」



男子トイレの中。

賢木は一人で呟いている。



「最強のエスパーを任務から外して、どうにかなるなんて甘いにもほどがる。ま、おかげで、殺すのが簡単になったけどな。クククク・・・・・・・!!」



ハンドガンを手に、賢木は妖しく笑う。

2018.01.22

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