心に響く良い話

「困るネ、君たち!!ここは日本だよ。活動はあくまでも我々の下で行ってもらう!」



局長は血管剥き出しで怒鳴る。

しかし怒鳴られているはずのメアリーとケンは気にもとめていない。



「こっちは命かかってマース。ガキと組むの困りますネー。」

「処置なしデ〜ス。」



余裕な二人の態度がムカついたのか薫がリミッターを外しながら襲い掛かろうとする。



「ちょっと乳がでかいからっていい気になんなよ!?あん時はリミッターのせいで・・・・・・」

「薫!!もうよせ!!」



皆本は慌てて薫を掴み、抑えようとする。



「解禁状態ならてめーなんか!!」

「薫ちゃんの言う通りよ。」

「イわしたったらええねん!!」

「そーだそーだぁ!」

「けしかけるなっ!」



切れ気味のなまえ達に皆本は真剣な表情で言う。



「ケンカしてる場合じゃない。彼女の言う通り、これは危険な任務なんだ・・・!!ただし――――最高のエスパーが必要なら、僕は迷わずこの子たちと組む。エスパーを見た目で判断すると後悔するよ。」

「!」



きっぱりと言い切った皆本に膨れっ面だったチルドレンの表情が和らぐ。



「フ〜〜〜日本人ロリコン多いの本当ですネー。」

「おい!!告訴するぞ!!」



やれやれと言わんばかりのジェスチャーをするメアリーに皆本はマジ切れ寸前だ。



「まーまー!!ワタシは中央情報局在日エスパーチーム所属、ケン・マクガイア中尉デース。そして同じくメアリー・フォード中尉。」

「フン!」

「26時間前、我々のリーダーが無許可離隊・・・・・つまり、脱走しましタ。捜し出して連れ戻さなければならないけど・・・・・超能力で抵抗される可能性がありマス。彼の名はJ・D・グリシャム大佐。別名「エスパーキラー」と呼ばれた男デス・・・!!」

「――――――――!!」



ケンに渡された写真には、厳しい顔つきの、70才程の男性・・・・グリシャム大佐が写っていた。
































「こんな話を知っているかね?65年前、太平洋戦争中――――ここには村があった。このダムには過去が沈んでいるのだ。」



山の中、逃亡中のはずであるグリシャム大佐はダムを見下ろしていた。

紫穂はグリシャム大佐の側に立ち彼を透視る。



「ここで昔・・・何があったの?それが脱走の理由?」

「君は・・・日本のエスパーだね?」



二人のすぐ近くにある林の中で、なまえ三人とメアリーは待機していた。



「終戦は1945年やから、え〜〜と、今年は・・・・・・・」

「どことどこの戦争?どっちが勝ったんだろ?」

「日本と合衆国デス!!合衆国が勝ったに決まってマース!!」

「・・・・・・・・(それはそうだけど、やだなぁその言い方)」



グリシャム大佐は紫穂を見ながら静かに言う。



「・・・事情を話すつもりはないよ。これは私の個人的問題だ。」

「・・・・・・・・そういうわけにはいきませんよ。身柄を確保して事情聴取―――――その後、コメリカ政府に引き渡します。大佐。」



バベルの手帳を見せながらグリシャム大佐に近づいていった皆本。



「コメリカ!?コメリカと戦争したの!?」

「そうデース!コメリカ合衆国デース!」

「このまんがはフィクションやからな。」

「そんな裏事情はいらないでしょ。」

「そこ、うるさい!!」


ギャーギャーと騒ぎ立てる薫とメアリーに皆本は怒鳴った。



「従えないと言ったら?そのおチビちゃんたちが力ずくで連行するのかね?」

「誰がチビだクソジジ・・・ぶッ!?」

「あ、痛そう・・・・・。」

「ワタシが連れ戻しマス大佐!!」



グリシャム大佐の言葉にキレた薫を先制するようにメアリーは薫の顔を殴る。

もちろん薫が黙っているはずもなく、鼻を押さえながら抗議をする。



「何すんだビッチ!!」

「ビ・・・!?その言葉、アナタ思うより重いデスよ!?」



口論を始めた二人をみてグリシャム大佐は超能力を使おうとする。



「知っているかね?チームワークのない高超度エスパーの集団は――――――私の能力には格好の餌食なのだよ!!」



なまえ達から少し離れた道路でECMと共にいるケンは局長に叫んだ。



「まずいデス!!大佐はECCMも所持してマス!!ワタシの透視能力たしかデース!!」

「・・・・・最悪、超能力を封じて通常戦力となまえで確保と思っていたが・・・それもダメか!」



紫穂が切羽詰まった表情で叫びながら皆本の元へ避難する。



「みんな気をつけて!!あの人、超度7の精神感応能力者ってだけじゃないわ!テレパシーを使った合成能力で――――――」






――ヒ ュ ン!






「「「「「!!」」」」」

「あ、」





――パッ!!





「私は・・・近くにいるエスパーの能力を、自分のものにできるのだ。「エスパーキラー」と呼ばれるゆえんだよ。」



ダムの壁に埋められたなまえ達に向かって念力で浮きながらグリシャム大佐は説明する。

しかし耳も壁に埋まっている皆本は困惑するばかりだ。



「えっ何!?聞こえない!?」

「ウチの得意技ーーーーー!!」



ガチャリ、ESP錠を手首に嵌められた葵は嘆く。



「何アレ!?聞いてないヨ!?」



双眼鏡で様子を見ていた局長はケンに叫んだ。



「オー、言うの忘れてマシタねー。」

「嘘つけ、情報出し渋っただろ!?」



大佐にESP錠を嵌めらながらメアリーは訴えた。



「大佐!!国への義務と忠誠を捨ててまで何を・・・!?」

「・・・悪く思うなメアリー。!」

「なめんじゃねーーーーーっ!!ブツブツ言ってねーでおとなしく捕まれっ!!ワガママじじいっ!!」



念力で壁から脱出した薫は大佐の背後にまわる。



「!」

「ムダだよ、おじょうちゃん。君の能力は私にも使える。」



薫は念力で攻撃しようとするが、大佐に相殺される。



「それがどーだっつーのさ!!エスパーってのはなーーーーーー!!気合いでパワーアップするもんなんだよ!!」

「む・・・!?」



手首に力を込めて大佐を壁へ押し付ける薫。

大佐の表情に焦りが生まれる。



「さすが超度7の念動能力者だ。だが・・・こんな話を知っているかね?戦争中空襲が始まり―――――爆撃で檻が壊れては危険だということになった。」

「へ?」

「そこで―――――動物園の3匹の象が処分されることに・・・・・・・!!」

「象が!!」

「テレパシーで直接心に・・・!!いかん、この話は!!」

「(・・・・・あれか。)」



焦る皆本を置いて、話は続く。






『利口な象は毒入りのエサを食べません。』


『仕方なく、エサを与えずに飢え死にさせることに・・・・・・』


『象たちはいっしょうけんめい芸をして、』


『飼育係にエサをねだりました。』


『そしてとうとう3匹の象は――――――』







「ううっ、悲しくて力が抜けていく・・・・・・」

「力尽きて天国へ行ったのです。」

「にゃーーー!!」



大佐の念力で薫は吹っ飛ばされていった。
































「・・・・・・・・・・・・」

「完敗だ。能力も凄いが、ESP戦を知り尽くしている・・・!!」



拳を握り、ぎりぎりとくやしがる局長。



「あと、話もうまい!」

「聞いてるウチも泣いてしもたわ。」

「私も。」

「戦争よくないネーーーー」



えぐえぐと号泣する薫と葵とメアリー。

紫穂は無表情にぽりぽりとお菓子をかじっている。

なまえはダムの柵に寄りかかり何処か遠くを眺めていた。



「大佐の居場所はまた透視スルよ!リターンマッチをしまショウ!」

「しかし、どうやって捕まえる?それに―――――――(妙な感じだった。用意周到なわりに手加減して戦ってるような――――)逮捕を急ぐ前にもう少し・・・」



ケンの申し出に渋る皆本。

しかし、ケンは言葉を濁す皆本にイライラと言い放った。



「あなた方、事態の重要さをわかってまセン!今の時代、ESPは軍事力として重要デス。どんな小国でも、有能なエスパーが生まれれば、大国と戦えるのデス!もし大佐が外国に亡命でもしたら、どうなりマスか!あの能力と話術で、大変な脅威となるでショウ!」

「話術も!?」

「一刻も早く連れ戻さねばなりまセン!」



局長に対してヒステリックに叫ぶケン。

皆本は眉を寄せて冷静に考える。



「・・・・・・・・どうしてもと言うなら――――――こっちの人数は減らした方がいいな、特になまえは。彼に応用のチャンスを増やすだけだ。薫とメアリーなら、同じサイコキノだ。強力すれば、2対1の戦いに持ち込める。」

「私がこのガールとですか!?」

「なんか文句あんのか!?」



不満そうに声を上げたメアリーを薫は凄い目付きで睨み付ける。

しかし負けず劣らずな表情でメアリーは皆本を睨む。



「任務の制服にアナタたちミニスカ着せてマース!ただの広告塔で戦力でない証拠デース!ただのパンチラ少女アイドルに過ぎまセーン!」

「・・・・・それは違うぞ、メアリー。制服にミニスカを希望したのはコイツだ。」

「ホワッ!?」



困ったような顔で、皆本は薫を指差した。



「え、何それ!?初耳!!」

「僕も!」



驚いて薫を見つめる皆の視線を感じたのか、薫は可愛らしくし始める。



「だって・・・・・紫穂や葵やなまえのがチラチラ見えた方が、楽しくてやる気出るじゃん?んで、パワーも出るじゃん?」

「アナタも見られるのデスよ!?ロリコンの大きいオトモダチに!!」

「僕を指さすなよ!!」



血相を変えて皆本をを指差すメアリーに、皆本は血管が切れそうだ。



「フ・・・・・・・・・肉を斬らせて 骨を断つ!」

「オー・・・・・・!!(サムライ・・・・・!!)」



清々しいほど力強い薫の言葉を感じとったメアリー。



「ユー サムラーイ!ワタシ今サムライの心知りマシタ・・・!!」

「共に戦おう、カウガール!」

「(・・・・・・意味が違う。なんか色々間違ってる。)」



キラキラと周りを輝かせながら抱き合う薫とメアリー。



「・・・・・・・こっちは大丈夫みたいだ。君たち・・・ちょっといいかい?」



薫達を放って紫穂に手を差し出す皆本。

黙って手を添えて、皆本を透視る紫穂。



「(あれほどのエスパーなら痕跡を残さず消えることもできたはずなんだ。なのに・・・・妙だ。君たちでもう少し探ってみてくれないか?)」

「了解・・・!!」



紫穂は、透視み終わると同時に葵の瞬間移動で現場を去る。



「(ひょっとして・・・ワザと僕らが追うようにしむけてる・・・!?これは――――ワナか!?)」

「・・・・・あのさ、皆本。思考するのは別に構わないけどさ、僕にも指示してよ。」

「あ、すまない!えっと・・・・・・、」



むすっとした表情で皆本に言うなまえ。

皆本は困ったように視線を逸らす。



「・・・どうせ待機でしょ。大佐見つけたら言って。僕、疲れた。」

「あ、待て!局長とケンと一緒に居てくれ!」



だるそうに、どこかへ行こうとしていたなまえに、皆本は慌てて叫んだ。

皆本を恨めしく睨みつけながらなまえはため息をついた。



「指示があるなら早くいってよね・・・・・・・・。」

2018.01.22

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