考えればわかること

『なまえってさ、なんでそんな自分を犠牲にするわけ?』


『・・・・そんなことしてますか。』


『してんじゃん。』


『それ、ウチも前から思ってたで。』


『・・・・・・それしか、できないので。』


『嘘。本当は私たちのこと、信用してないからでしょ。』


『三宮さん、』


『超度7の接触感応者の私でも透視めないほど、いつも心を閉ざしてる。透視めるのは表面の感情ばかり。』


『・・・・透視には耐性があるので。』


『耐性がある程度なら、私には透視めるはずよ。できないのは貴女の心に壁があるから。』


『・・・・それは、』


『貴女はいつも泣いてる。』


『!!』


『なんで、私たちに話してくれないの!』


『・・・・・僕には、そんな資格ないんです、』


『資格ってなんだよ!!』


『明石、さん?』


『あたしたち、同じじゃん!!』


『違、います、私は、僕はもっと汚いんです!!』


『なまえ?』


『僕が、僕が居なければ、皆・・・・!!』


『『『!』』』


『・・・同じじゃない。』


『ウチらも、お互いに会うまで、そー思ってたで。』


『あたしたち、お互いに必要なんだよ、』


『ひつ、よう・・・・・』


『これからはさ、あたしがしっかり守ってやるからさ!』


『ありがとう、ございます、』


『あ、笑ったほうが可愛いーじゃん!』


『そう、ですか?』


『せやな!・・・まぁ、悪い虫わき放題やろな。』


『ふふ、そんなの私たちが駆除しちゃえばいいのよ。』


『お!それいいな!!』


『あの、皆さん?』


『あ、ストップ!敬語は終わり!名前で呼ぶ!』


『いいん・・・の、?』


『あったり前じゃん!!あたしたち、「ザ・チルドレン」なんだから!!』
















――




―――











「・・・・・懐かしい夢、」



皆本のマンションにあるリビングのソファーでなまえは体を起こした。



「命令した本人の不二子ちゃんはまだ起きてないし・・・・・・・、」

「僕にとっては、暫く起きて欲しくないけどね。」

「・・・・・・京介。」



酷く気怠そうになまえは俯いていた顔を上げた。

ソファーの背もたれから身を乗り出す兵部。



「・・・・・本当に君は神出鬼没だね。しかも、この間も来たばかりじゃないか。」



呆れ返るなまえを横目に、ソファーに座る兵部。



「いいだろ?可愛いなまえを見に来たって。」

「・・・・・・いきなり何それ。京介にそんなこと言われても嬉しくない。」



目つきを鋭くするなまえ。

意地っ張りと小さく呟き笑う兵部。



「・・・・・寂しくなったら、何時でもおいで。僕は、僕らはなまえ、君を歓迎するよ。」

「・・・・・・・・・なんでそんなこと、言うんだよぉ、きょーすけ、自分の立場、わかってるだろ?」

「よくわかってるつもりさ。」

「敵なんだよ、僕ら・・・・・」



ぐっと唇を噛み締めるなまえ。目の端には涙が光っている。



「なのに、甘えたく、なるじゃんか、」

「おいでなまえ。僕の花嫁。」



酷く優しい声で微笑む兵部の胸に、なまえは静かに顔を埋めた。



「わかって、るんだ・・・・・!僕は、僕は予知に居ない、あの未来に居るはずのない存在なんだ・・・・!怖い、恐いよ、助けてよ、こわいんだよぉ・・・・・!ひとりは、いやだよぉ――――」



怖いんだと、縋るように泣くなまえを、兵部は静かに抱きしめた。






























「あたしの、大事な・・・・・友達に手を出すなーーーッ!!」



涙を流す薫により、Aチームは吹っ飛ばされていく。




「わーーーッ!!」

「・・・・・派手にやってるなぁ。」



騒ぎの中心である公園の傍にある建物の付近の上空から、なまえはみんなを眺めていた。

上空からは公園のあちこちに散らばっているAチームが見える。



「(局長の我が儘に振り回されるあの人達も不運だなぁ・・・・。)」



呆れ顔のなまえの目に、公園から勢いよく飛び去っていく薫が写る。



「薫ちゃん!?」

「ちょ・・・・ちょっと!?あいつ・・・花嫁の父親か!?」

「・・・・・・・・・バカね〜〜〜〜〜!!」



薫を見送りながら紫穂と葵は苦笑いだ。



「「元気で、楽しくて――――可愛くて・・・・おバカだけどおっとこまえの、今は男の子より大事な仲間の、女の子」・・・・・か。」



僕には無関係だね、となまえは寂しげに呟き瞬間移動した。



































ねぇ京介

僕は正しいのかな


憎んでいると思っていたから


君に嫌われたと思ったから


不二子ちゃんに着いてきたのに


京介、君に嫌われていないのなら


僕が"ここ"いる意味はあるのかな


誰か教えてよ、


ねぇ、―――――――

































「なぁ、最近・・・なまえの様子って変じゃね?」

「確かにアイツ・・・・よそよそしいような・・・・。」

「・・・・・透視てはいないけど、何か悩んでるみたいだったわ。」

「会った時から、なんつーか"普通"じゃないと思ってたけど・・・・。」

「大丈夫かな、」

「心配やな、」

「・・・頼ってくれればいいのに。」




















(ただ少しすれ違ってるだけだなんて)(微塵も考えなかった)

2018.01.22

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