未来からの便り

「んじゃ、あたしたち、ちょっと実家に帰るけど・・・独りだからってハメ外すなよ!?それと、あたしのなまえに手を出したらぶん殴るからな!」

「さびしがって泣かんといてや――――。なまえもな。」

「明日の夜には戻るからね。なまえちゃん、何かあったらすぐ言うのよ。」



薫たちはそれぞれが大きな鞄を持ち、意地が悪そうに笑った。

親のいないので残ることになったなまえは三人から注意を受けて不思議そうに頷いた。



「へ?う、うん?」

「あのな―――――」

「心配すんなって!皆本はちゃんと俺が見張っとくからよ!なまえちゃんに手をださねぇよーに!」



親指をぐっと立てて豪快に笑う賢木。

途端に困り顔になる薫と葵。



「賢木先生がいるから心配してんだよ!」

「この人、なんでいるん?」

「ガールフレンドが三人、賢木先生の部屋でハチ合わせ・・・」



そっと近づいて透視する紫穂。



「うるせーなっ!!休日に同僚の家に遊びに来ちゃ悪いかよ!!」

「嘘でしょ先生。」

「いーから早く行け!実家も何も、ここは君らんちじゃないんだよ!?なし崩しに何週間も泊まり込みやがって!!」

「えっ、」

「そーなの?」



呆れる皆本に、きょとんとするチルドレン。



「とりあえず、いってらっしゃーい。」

「「「行ってきまーす!」」」



へにゃんと笑ったなまえに手を振られて、チルドレンをベランダから飛び出していった。



「・・・・・・・・ったく!これでやっとゆっくり――――」

「飲みにでも行くか!」

「昼間から?」

「なまえの言うとーりだ。医者のクセに不健康なこと言うなよ。こーゆー天気のいい日は・・・・・」

「掃除と洗濯なんだね。」

「そうに決まってるだろ。」

「い・・・いや、そうか!?そうなのか!?それ、健康な男子の発想か!?」



鼻歌交じりに掃除機をかける皆本を若干引いた感じで見るなまえと賢木。



「まっ、もしくは筋トレとか?」

「確かに健全だけど、小学生としてどーなんだそれ!?」

「じょーだんだよ。僕、眠いから部屋寝てるね。」




楽しそうに声を上げて笑ったなまえは、ひらひらと手を振ってテレポートした。

































「―――ッ―ゃ―!!――――ちゃ――――なまえちゃん!!」

「だ、れ・・・・」

「うちや!うちらや!!」




がくがくと体を揺すぶられ、ゆっくりと目を開けるなまえ。

無理矢理起こされたせいか、若干機嫌が悪そうだ。




「・・・・・どーしたの、紫穂、葵。」

「何があったんか?リビングえらいことになってるで!?」

「皆本さんも賢木先生も居ない、家具は倒されてあちこち破壊されてたわ!」

「・・・・・え?」




二人の言葉にさっと顔を青くするなまえ。




「・・・・・・紫穂、透視はやった?」

「えぇ、勿論。バッチリよ。」




真剣な表情のなまえに、紫穂はニヤリと笑った。




「口元を包帯で巻いたスーツの大柄な男と、私たちと同じ年くらいの茶髪のバカそうな女が皆本さんを連れていったわ。」

「賢木先生と薫は、手紙を頼りに皆本はんを連れ戻しにいったらしいんや。」

「そんでもって・・・・・ぶん殴るんだね。」




物騒ななまえの台詞に、紫穂と葵は黒く笑う。




「殴るなんて人聞きが悪いわ。」

「せや、そんなことできへんよーに痛めつけるだけや。」

「どっちも一緒な気がするけどね・・・・。」




腹黒い三人だった。


























「・・・・・あ、皆本がデレッとしてるのが見えた。」

「「「ぶん殴る!!」」」



ぽつりと呟いたなまえの言葉に、薫と葵と紫穂は一目散に廃校に向かって行った。



「あ、置いていかれた。」



一人、宙に残されたなまえは困ったように頬をかいてから後を追って瞬間移動した。























「・・・・・別にじゃないでしょ。「着替えたら可愛いじゃないか」って――――心の中で鼻の下のばしてる。」

「わあっ、紫穂!?」



背後から現れた紫穂に図星を言われた皆本は目を丸くした。



「!!お前は・・・・!!」

「あちゃ〜〜〜やっぱ来ちまったか・・・・・・・!!」

「あれ〜〜〜?お邪魔してしもたってカンジ?」

「あ・・・葵!!それじゃ・・・・・」



錆びれた校舎の上に瞬間移動した葵。

皆本は自分の立場を理解したのか、顔を青くした。



「当然・・・・・あたし達もいるよ?」

「・・・・・皆本ってサイテー。」

「い・・・いででででででででーーーーっ!?」



バキバキと凄まじい音をたててありえない方向に曲がる皆本の背中。

薫は笑顔で念力を篭めている。

なまえは冷たい目で、薫の腕にくっつきながら眺めるだけだ。



「人にケンカ売りに来た女と何やってんの!?」

「ちが・・・ちょっと待・・・・・・・」

「心配して損したよ!!」



なまえと薫に睨まれ、腰を痛めつけたれた皆本は涙目だ。



「女王・・・花嫁・・・・!!フン・・・!!やっぱ仲間を連れてきたか・・・サシでやる実力がないって自分でもわかってんのね。」



驚愕から自信に溢れた表情で薫となまえに言い放つ澪。

慌てて薫は口を開く。



「・・・・何!?これはだな、なりゆきで―――たいたい、お前の地図が―――――」

「見苦しいわよ!「女王」と「花嫁」の実力がどの程度なのか試してみるつもりだったけど・・・・そんな値打ちもないわね。」



耳障りな音と共に澪の姿がブレはじめる。



「「!!」」

「え、」

「「この場で全員たたきつぶす!」」

「「今さら逃げられるなんて思わないでよ。」」

「!!分身した!?」

「合成能力・・・・・・!!」

「よ、四人・・・・!?」



四つに分身した澪に驚きを隠せないチルドレンたち。



「コレミツ!」

「そっちの二人、任せるわよ。」

「片付けといて!」

「あんたたちは私が直々に相手してあげる。」

「そうは―――――!!」

「きゃ・・・・」

「あ、やぁっ!?」



意気込んだ葵の足を瞬間移動した一人の澪の手が掴み。

一人の澪が紫穂を背後から抱き瞬間移動。

同じくなまえも一人の澪に瞬間移動で連れ去られていく。



「葵!!なまえ!!紫穂!!」

2018.01.22

/

[3/4]

章一覧/失った花嫁/サイトトップ