しんじつ
名を、
名前を、
呼ばれるよりも、
もっと強く、
呼ばれるのだ
考えるよりも先に
反応してしまうほど
それは深く
深く
深く
僕を揺さぶる
「紫穂と葵が・・・!」
「どっちかなんて選べない!!」
僕らを束ね、導く定めの女王
君は、苦しむことなんてない
「どっちかなんて選ぶ必要はないよ」
苦しむのは、僕だけでいい、
「・・・・なんで逃げるなって言ったのに、逃げるんだよ、」
なまえの前髪を軽く払うと、兵部はため息をついた。
あきれたような怒っているような・・・そんな複雑な顔をした兵部。
「しかし、まさか君がそんな力があるとは・・・・。」
兵部の脳裏に浮かぶのは、葵と紫穂のピンチに表れたなまえの姿。
あの時、なまえは確かに薫の叫びに呼応するように姿を表した。
脳裏に浮かぶ姿とは違い、目を閉じるなまえからは規則正しい呼吸が聞こえてくる。
その音と、小さく動く胸だけがなまえは生きていることを主張していた。
「(花嫁、か・・・。あまり深く考えたことはなかったが・・・・。)」
なまえの二つ名である「血の花嫁」、これは元々誰が言いはじめたものだったか。
血になにか特別な力でもあると言うのだろうか。
それに・・・花嫁とは?
「花嫁には、なにか意味があるのかもしれない、」
なまえの胸元でロケットが静かに存在を主張した。
それに元はといえばなぜなまえは、超常能力特殊部隊のことは覚えているのに、「僕のことだけ」忘れていたのか。
あの時なぜ彼女は姿をもどしたのか。
兵部の頭には疑問がうかんでは消えた。
「・・・あの時のことは、考えても仕方がないか。」
頭と胸を打たれて生きていた自分も例外だが、頭と胸を打たれて「心臓がしばらく止まってからまた動きだし、なおかつ体を幼少期まで縮める」なんてことは異常だ。
確かに超能力は物理的法則、いわゆる常識を超えたデタラメなパワーだ。
「・・・少し、調べる必要があるな。」
兵部は少し、眉間にしわを寄せた。
「・・・なまえ、」
というか、全く起きる気配がないが大丈夫だろうか。
いくらここに自分でトラップを仕掛けそのさらに外から不二子さんがトラップを仕掛けているとはいえ・・・・。
誰かが来てもずっと寝てそうだ。
「早く起きろ。バカ。」
ごめんね、皆・・・。
薫や紫穂、葵、ちさとちゃん―――――
不二子ちゃんや皆本、賢木せんせー、
京介
みんなの声が、心が、流れてくる
みんな、心配してくれてる。
心配、されるような身分じゃないのに。
『どうして?』
だって、僕は、大切な人たちを――――――1番、大事な人も、みんなのこと、殺したんだ、
『そうね、「あの時」あなたが「ああ言った」から。』
そうさ、僕の、私の、予知能力さえ、無ければ―――――――
『自分が憎い?』
うん、
そして―――――大っ嫌いだ。
『じゃあ、私に任せて。』
・・・・・君は、だれ?
『ユーリ、』
ゆーり、
『あなたは、私の――――――とっておきのお人形だわ。』
にんぎょう、
『なまえ―――――――!!!』
『!?』
かおる、
君は―――――――なぜ、僕を呼ぶんだ、
「どうして――――――、」
『あたしたち――――――、仲間じゃん!!!!』
なかま、仲間――――――――――
ずっと、忘れていた。
あの子たちはずっと僕のことを仲間だって言ってくれていたじゃないか
僕は、確信したはずじゃないか
なんにでもなれるし、どこへでもいけるって
皆本は、言ってくれたじゃないか
僕らの能力は神様からの贈り物なんだって
僕は、女王を―――――薫を、葵や紫穂、
大切なみんなを守りたいって
思ったじゃないか
そのためなら、
「僕は、犠牲になってもいい――――――」
「みょうじなまえ」にしか、できないのだから
『薫ちゃんの邪魔が入っちゃったけど、きっとあなたなら最高の人形になれるわ』
ユーリ、君は――――――――
『また会いましょう。私の可愛いお人形さん。』
きえた。
・・・・そう、消えたんだ。
僕はもう、迷わない。
僕の「犯したこと」は消せないけど、それでもあの子たちのために、未来のために生きていくんだ。
僕は、犠牲だ。