辿り着いたのは

夢をみた。



青く、広大な綺麗な海。

それが徐々に毒で染まってゆく・・・夢。



そして、毒の広がる中心にいたのは――――――











「クロ・・・ス、」

「なまえちゃん?」

「・・・・・だ、れ?」




ゆっくりと体を起こす。

体が怠いことから考えると、随分と寝ていたらしい。

声がした方には、アレンと同じくらいの歳の長い黒髪の女の子がいた。

教団の服を着ているから、多分エクソシストだろう。


反射的に、教団に見つかったからクロスに殺されると思った。




「・・・・・何言ってるんだろう。クロスは・・・・もう、」

「?・・・あ、待ってて!アレンくん呼んでくるから。」




女の子はそう言って、走って行った。

覚醒し始めた頭で、自分の周りを見渡してみる。


多分、馬車の中。
誰もいないのは、窓から見える駅に全員がいるからだろうか。




「捜しに、行くべきなのかな・・・・・・「なまえッ!!」

「あ、」




キラキラと光る白髪。
変わらない、何も変わっていない。
数カ月前に別れたばかりの・・。




「アレ、」




ンと名前を言い終える前に、きつく抱きしめられた。




「アレン、」

「心配、したんです。師匠と二人きりだし、久しぶりに会ったと思えば空から降ってくるし、」




あぁ、そういえば熱で記憶があやふやだけど確かに空中で気絶した気がする。




「それに、ずっと・・・・・目を覚まさない、から。」

「・・・・・・うん、」




ごめんね、小さく呟くのが精一杯だった。

それ以上言ったら、全てが溢れてしまいそうで。

アレンは、ゆっくりと体を離してから決心したように口を開いた。




「・・・・・で、きききき聞きたいことがあ、あるんですけどッ!!」

「・・・・・クロスのこと?」




ずん、と心が冷たくなる。

このアレンの震えと、顔の青ざめ様と、どもりようからして十中八九クロスの話だ。




「・・・・・・・知らない。」

「え?」

「・・・わからないの、・・・・・・僕は、・・・・置いて、行かれたから、」




肩に置かれたアレンの手をそっと退かし、テレポートで馬車の外に出る。




「ま・・・・なまえッ!!」




慌てたアレンが馬車から出てくるが見えた。

でもね、ごめん。




「・・・ごめんね、アレン。」

「待って!!」




強く、手を握られた。




「リナリー・・・!」




起きて最初に見た女の子だった。
リナリーというらしい。
アレンが今呼んでいたから確かだろう。




「行かないで下さい!貴女が必要なんです!!」

「・・・・・別に、何処にも行かないよ。」

「嘘でしょう。」




いつの間にか近くに来ていたアレンにも、逃がさないとばかりに手を握らる。

ちらりと見れば、ますっぐ一心に僕の瞳を貫く4つの目。

・・・・反則だよ、その目は。




「・・・・・わかった、馬車に戻るからコムイ室長と、ブックマン二人呼んできて。」

「え?」

「それで、今ここにいる教団関係者は全員でしょう?」




驚くリナリーとアレンを置いて、僕はテレポートで馬車へと戻った。


























「君が、なまえちゃん?」

「そうです。」




一つ頷いて見せる。




「じゃあ、単刀直入に言うけど・・・・クロス元帥の消息を知っていたら教えてくれないかな。」




ほら来た。

絶対、教団の人達はクロスの行方を知りたがっていると思ったんだ。




「・・・・・クロスとは、貴方達と会った街で別れました。その先は知りません。」




だって、クロスは僕を置いていったのだから。




「・・・・・そうかい。」




目に見えて落胆する室長。

まぁ、唯一の手掛かりだったから仕方がないかもしれない。




「なら、よければでいいからなまえちゃんの能力を見せてくれないかな?」

「嫌です。」

「なまえ!?」

「・・・・・・僕の力は、見世物なんかじゃ、ない。」




アレンが焦って何かを言おうとしているが、僕の顔をみた彼は口を閉じた。

この室長、結局は「あいつら」一緒なんだろう。
僕のことを利用しようとしているだ。




「・・・どうせ僕とティムを利用してクロスの元を目指すのでしょう?なら、別に今じゃなくてもいいですよね。」

「・・・・・そうだね。」

「・・・・なら、失礼しま「待つさ!」




上げかけた腰を中途半端な位置で止める。




「何か?」




ブックマンJr。




「オレと手合わせしようぜ。」




へら、と笑って揺れる橙色の髪。

ぴしりと、全員が固まった。




「・・・・は?」

「オレ、二年ぐらい前に見かけてからずっとあんたのこと忘れたことがなかった。」

「「「ら、ラビ?」」」




何を、言っているのだろうか。
自分の立場を理解していないのかコイツは。




「だから・・・・・」




大きく息をすう。

怒りと共に、感情と共に、力が高まっていくのがわかる。

我慢などできるものか。




「僕は――――――あんたみたいな薄っぺらい奴が大っ嫌いなんだよーーッ!!」







――ドーーーッン!!
















(大人しいだなんて一言も言ってない)



title by みっけ

2018.03.18

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