さようならは言わない

「何処へ行くんですか。」

「・・・・・何処だと思う?」




振り返った先に見た、強い瞳。

彼は、僕と一緒に過ごしたアレン・ウォーカーは、こんなに強い瞳をしていただろうか。




「はぐらかすつもりですか、」

「そんなことはしない。・・・・でもね、」




クロスの元へ行くと伝えたら、なんだかアレンが嫌がりそうな気がしたから。




「・・・・行ってほしくないです、正直。」

「そんな顔してる。」

「・・・・まさか一人にすると思わなかったんです。」

「・・・僕も思わなかったよ。」




そっと目を閉じた。




「・・・待ってるから、必要とされてるから・・・・・行かないと、」

「・・・・いっつもそうなんだ。1番は師匠なのに、肝心な時に隣にいない。」

「ごめんね、」




泣きそうに顔を歪めるアレン。

側に居てあげられなくてごめんね。




「今だけ、抱きしめてもいい?」

「再会して話す前に抱き着いたくせに。」




「ごめん、」とくぐもった声が聞こえて。

手を回した背中。

こんなに小さかったかなとぼんやり考えた。

寂しいけど、僕はアレンも大好きだから。

案外甘えん坊なんだね、アレン。

ちょっと安心したよ。






























「アレンを振り切ったとこまではよかったのに・・・・・・。」




思わず息がでる。

なんで、よりによって早くしなくちゃいけないときにこうなるんだろう。




「・・・・せんねんこーに空気読めって言うのも、馬鹿馬鹿しいしなぁ。」




誰か僕を囲んでるアクマを破壊してくれないかなぁなんて。

そんなこと有り得ないけどね。
教団は今、深刻なエクソシスト不足なはずだから。




「見たとこ全部レベル2までみたいだし・・・・さっさとやつけて「アニタ」さんとこ行かなくちゃ。」




クロスが待ってる。




「さぁ、覚悟してよ。手加減している暇ないんだから。」




目を閉じて深呼吸をする。



















(目を閉じればあなたがいる)(嗚呼なんて素敵なことなの!)


title by 彗星03号は落下した

2018.03.18

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