例えば彼女がついてない日

「・・・・・しまった。」




お金がない。

まるでクロスみたいだけど、何もあんな風に豪遊していた訳じゃない。
いや本当に。




「もともとの手元金少なかったしなあ。」




仕方ないにしても、食費や宿をとるのにお金は必要だ。
まあ交通費はかからないだろうし。
瞬間移動すればいいし。




「うわぁ、紙幣がないよ。」




蝦蟇口の財布の中は空。

僅かにあるコインも、おそらく今日の昼食代に消えていくだろう。




「・・・・・アルバイト、するしかないのかなあ。」




でもアルバイトにいい記憶がない。
嫌なんだよなー。

だってやってたバイトに絶対クロスが邪魔しに来るし。
理由わかんないのに何故か不機嫌だし。
しかもバイトするなとか言われたし。

クロスが豪遊するからのにさ!




「手っ取り早く、大金を稼げたりなんて・・・・・・・できるじゃん。」




奇跡じゃない、これ?

えっと、・・・・・


「集え戦士たちよ!この町最強は君だ!」


・・・・・どんなキャッチコピーだよ。
この張り紙作った人のセンス疑う。
しかも、その下な絵だって幼児レベルでしょ。




「でも、・・・・・並大抵の男に私、負ける気なんてしないんだから!」




伊達にクロスの元で修業してたわけじゃないんだからね!
本当に、酷い修行で・・・・・。

・・・・・・。

やめよう、悲しくなるだけだ。




「っいた、」




誰だよ、今ぶつかったの!?

て、でか!!
僕の身長の2倍くらいありそう。




「あ゙ぁ゙?・・・・んだじょーちゃん。」

「ぶつかってきてそれはないんじゃない・・・・・?」




なんだこの失礼な野郎。
当たったんだから、とりあえず謝れよ!

ぶっさいくな顔だしさ!




「ん?まさかこの武道大会に出ようって気じゃねーよな?」

「出ちゃ悪いのか!?」




いちいち勘に触るやつだな!

土に埋めてやろーか!!
テレポートなら一発だけど!




「はぁ?・・・・こんな細い腕でか?」

「っ!腕つかむなー!!」

「俺が力込めたら折れちまいそーだなぁ。」




いっ、痛い・・・・!

人が下手に出らゃー偉そうに!!
こっちが逆にお前の骨折ってやるよ!




「馬鹿にして・・・・・!!」

「何してんだ!!」




え、誰。

しかも何故か逆光で顔が見えないし。

せっかく僕が反撃しようと思ったのに。




「そ、そのマークは・・・・!!」




なんだこの男、急に怖じけづいて。

顔真っ青。

そんなに怖い物って想像つかない・・・・。




「へ!消されたくなかったら消えなっ!!」

「す、すいませんでしたあ!!」




あぶなっ!
急に手を離すなよ!!

僕にサイコキネシスなかったら地面と衝突してたんだけど。




「あんた大丈夫か?」

「あ、うん。まあ。」




助けてもらわなくても大丈夫だったんだけど・・・・。

一応助けてもらったしなあ。

そして相変わらずの逆光。




「ありがとう、ございました、」

「・・・・・・・・・か」




か?




「可愛い!!」

「・・・・・はあ?」




がっちり捕まれた手が痛い。

なんだこの人。

まともじゃないのか。




「いやー俺ってばちょーラッキー!?」

「意味わかんな・・・・・、あ。」




顔にペイントをしてる男の服。

これ、団服だ・・・・・。

しかもエクソシストじゃん!?

さっきの奴がびびってたのってコレ!?




「あ、俺はデイシャ!デイシャ・バリーってんだ!」

「はぁ。」




いや、名乗られても困るんだけど。

クロスとの約束は破っちゃったから、今更教団の人と会っても特に問題はないけどね。

あれ?
でも僕、コムイって人のとこ無断で抜け出した訳だからなんか指令とかでてるのかな?




「あんたの名前は!?」

「え、あなまえ、だけど。」




透視してもいいかな?

・・・・いいよね。
この際プライバシーとか言ってられないもん。




「へー!年は?」

「え、14」

「うっそ!?14には見えない!!」




あ。
なーんだ、全然僕のこと聞いてないみたい。

この人たちも、自分の師匠である元帥の元に行く途中なんだ。
ティエドールっていうのか・・・全然知らないや。




「・・・・えっと、助けてもらってありがとうございました。というわけで。」

「へ?」




仕方ないよね。

だってこの人しつこそうだもん。




「イノセンスの使えるエクソシストなら簡単に壁から抜けられると思いますので。」

「え?なにこの状態!?」




壁に埋めても、顔と手足が出てるから平気だよね。




「先を急ぐので―――――――。」

「お前、まさかAKUMAか!?」

「あんなキモくてしつこい奴らと同じにしないで下さいよ。」




攻撃しなきゃよかったかも。

確かに妙な方法で攻撃するとかAKUMAくらいだもん。

でも僕、変形してないし。




「はぁ?」

「それじゃ、ご武運を。」




とりあえず、テレポートでこの街を出よう。

・・・・お金はまた今度でいいかな。













(あ、イノセンス発動できない状態だったらどーしよ)(まあ仲間居るみたいだったしいっか)




Title by みっけ
2018.03.18

/

[2/4]

章一覧/はろー、エトランゼ一覧/サイトトップ