それは好奇心というもの

助けて、と何度だって叫んだ


だけど周りから与えられるのは冷たいものばかりで、


いつしかあたたかいものを求めるのを諦めていた



やっと得た居場所だって


失ってしまった

























ゆっくりと瞼が開く。

どうやらここは誰かの部屋らしい。

というか、視界が一面黄色いのは何故だろう。
心なしか、顔の上に何かのっている気もするし。


「…………苦しいんだけど…。」


声をかけてみる。


「……………。」


無反応だった。

温かいから、なにかの生き物だと思ったけど言葉は通じないのかもしれない。

体や頭もぼんやりとしているし、サイコメトリーやサイコキネシスをする気力もない。


「…………誰か来ないかな。」


早々と諦め、とりあえずそのままの体勢でいることにした。


部屋を支配する沈黙。


暫くして、バタバタと階段を駆け上がってくる靴音がする。
また暫くして、靴音が途切れた。

キィと先程の靴音とは対照的に静かに部屋の扉が開き、誰かが入ってくる。


「……と、えっ!?ティ、ティムキャンピー!!お前そんな所で何してるんだよ!?」


誰かこれを退けてくれないかと、期待を込めて耳をそばだてていたら聞こえてきた声は僕を助けに入ってきた白髪の少年で。

とにかく気付いてもらおうと、声をかけた。


「あ、少年?調度よかった。これ、どけてほしいんだけど………、」

「うぁっ!?お、起きていたんですか!?」

「あ、うん。」

「す、すみません…!すぐに退けます!!」


慌ただしくベットに近づいてくる(と思われる)少年。

すっと視界が正常に戻り、顔にあった違和感も消える。

そのまま天井を見て、ベットの横に居るだろう少年にお礼を言おうと視線をそっちに向けた。


「!!」

「ありがとう、少年。やっぱり体は本調子じゃないらしくて────?」

「…………」

「どうした、少年?」


黄色い何かを掴んだまま、僕を見て目を丸くしている少年。
なんだか、呆けているようだ。声をかけるが反応はない。

しかたないので手を振ってみようとする。


「しょうね───いッ!?」


体に力を込めて、起き上がろうとした瞬間に走る痛み。

ガクッと力が抜け、前へ倒れる。


「あ、!?」

「(落ち────る……!!)」


ベットから落ちそうになったが、我にかえった少年に支えられる。


「す、すみません……。」

「大丈夫、思った以上に、ダメだっただけだから…。」


ベットに戻され、ほんの少し息を吐く。

そういえば、ずっとアクマやノアや千年公に追い掛けられていたから、ちゃんとベットで寝たのは久しぶりかもしれない。

そう思うと、どっと眠気が襲ってくる。


「名前、」

「え?」


せめて寝る前にこれだけは言っておこうと、口を開く。


「君の名前は、?」

「ア、アレン・ウォーカー。」

「そう、僕、はなまえ。」

「なまえ、」


瞼が重い。


「アレンって、」

「へ?」

「いい、なまえ、だね……。」


もう堪えられなかった。

そのまま欲求に従って、僕は意識を沈めていく。


































はっきり言って、見惚れた。

アクマと対峙していた少女は、なまえというらしい。
正直、アクマと闘った時は無我夢中で、なまえをよく見ていなかった。
しかも、すぐにアクマに壁へと叩きつけられた僕は気を失ってしまい、師匠に怒鳴れて目が覚めたあともなまえは師匠がどこかに連れて行ってしまって。
まともに見たのは初めてだったんだ。

だから、まさかあんなに可愛いとは思わなかった。


「師匠の愛人を見てきたから……誰を見ても驚かない自信はあったんだけどなぁ。」


なまえの眠るベットに乗り出しながらなぁティム、と呟く。
なまえから離れようとしないティムキャンピーを指で突いた。

もしかして、ティムはなまえを気に入ったのかと考えた。

片時も離れないのを見ているとあながち間違ってはいないのかもしれない。


「ティム、頼むからさっきみたいなことはしないでくれよ?」


ぶすぶすと断続的にティムの頬(らしき場所)を指す。


「いッ!!────!!」


しかし、それも長くは続かずに僕の指はティムの丈夫な歯に挟まれる。

痛みで叫びたかったが、寝ているなまえを起こさないようにと、慌てて手を口にあてた。


「痛いなあ…。ティムは師匠に似て手加減がな……。」


キラキラと光るティムの丈夫な歯を見て黙る。
二度もあの歯の餌食になるなんて嫌だ。

痛みの勢いで立ち上がったままだったので、そっとまた元の位置に戻る。

もちろんティムとは距離をおいて。


「…なまえ、君は、一体何なんですか……?」


じっとなまえを見つめて、疑問を口にする。

それは、彼女がアクマと対等に闘っている時から感じていることだった。

師匠は、彼女はエクソシストではないと言った。否定しただけ。
なまえが何者かは話していない。


なら、エクソシストでも、アクマでもないのなら、一体、なまえは、何者なのだろう?


















(まぁ、これから聞けばいいことなんだけれど)




title from ララドール
2018.03.18

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