後日談3
緑間くんがわたしを足の間に座らせてうしろから抱きしめるようにして本を読み始めたのはだいぶ前のこと。最初、わたしは恥ずかしくて緑間くんに抗議したけれど彼は聞く耳持たず、わたしがおとなしく諦めるしかなかった。緑間くんって意外と頑固なんだよね。

しばらく彼が読んでいる本を一緒に読んでいるとあることに気がつく。あれ、ページを捲るペースが遅くなった?

『緑間くん?』

うしろにいる彼に声を掛けてみるけれど返事がかえってこない。不思議に思って、ゆっくり振り返ってみる。

あ、寝てる

眼鏡の奥の綺麗な瞳が閉じられていて、規則的な呼吸が聞こえる。

疲れているなら無理しなくてもいいのに。

家に来ないかと誘われたのは昨日のこと。休日にしては珍しく午前中だけの練習になったからと緑間くんが電話をくれた。
最初はどこかに出掛けようかと言ってくれたのだけど、わたしがふたりでのんびりしたいとお願いしたのだ。のんびりしたいって言って正解だったかな。安心しきったように眠る緑間くんを見て、小さく笑ってしまう。彼を起こさないように、慎重に自分の体の向きをかえて向かい合って座る。それから、再び慎重に緑間くんの眼鏡を外し、近くのテーブルの上に置く。寝てる…よね?寝ているのを確認をしたあと、そっと彼の唇に自分の唇を重ねる。

『緑間くん、おつかれさま』

いつもがんばっている緑間くんが、良い夢を見れますように


に願いを


「ん…しずく?寝てしまったのか。すまなかった。暇だったろう?」
『緑間くん、おはよう。大丈夫だよ』
「起きてすぐにしずくを見れるなんて、すごく幸せなのだよ」
『わたしも幸せなのだよ!』
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