とある夫婦の1日 仕事前
『あ、そういえば長官。昨日の休憩時間に新しいお店を見つけたんですけどね。そのお店に並んでいたフルーツタルトがきらきらしていて宝石みたいだったんですよ』
「…」

おかしい。私は今日の予定を彼女に確認していたはずだったのに、何がどうしてこうなった。
かれこれ私は15分ほど彼女の話を聞かされ続けている。

「ステラ、」
『はい。なんでしようか?あ、もしかして長官もタルトが食べたくなりました?』
「いや、今はタルトの話ではなく今日の予定の報告を頼む」
『あ…そうでした。本日の予定でしたよね。本日の予定は、』

そう言って手元の手帳を確認しながら再び話し始める彼女。秘書官としての彼女の仕事ぶりは、他の長官達も認める程に優秀だ。優秀なのだが、彼女はどうやら相当なマイペースらしく先ほどのようなことは日常茶飯事。

「(どうしたものか、)」

思わずため息が溢れる。

『長官?何か悩み事ですか』
「いや、気にしないでくれ」

流石に本人に向かって「君が悩みだ」とは言えない。それに、目の前の人物に一番振り回されているであろう人物のことを思えば自分なんてまだいい方であるに違いない。そう言い聞かせて私は彼女の報告に耳を傾けた。

とある夫婦の仕事前

『あ、』
「どうした」
『間違えてグルスのお弁当まで持ってきてしまいました。せっかく頑張って作ったのに、』
「…午前の支部での仕事の時に渡してくるといい」
『長官!ありがとうございます!』
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