奥村さん家の妹ちゃん17
フェレス卿から授業が始まる前に連絡があった。どうやら今日はフェレス卿がと一緒に女子生徒が見学に来るらしい。珍しいことがあるものだと思いながらチャイムの音と共に教室にはいれば、教室の1番後ろの席に座っているフェレス卿と正十字学園の制服を着た女の子。見たことない子のはずなのに、どこかで見たことあるような気がした。
みんなも気になっているらしく、そわそわしている。志摩くんに至っては、完全に後ろを向いて手を振っている。そして、珍しく兄さんもフェレス卿の隣に座っている子を気にしているようだ。

「では、出席を取ります」

ひとりひとりの名前を呼んで出席をとったあと、今日は見学に来ていることを伝えてから授業を始めた。

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授業を始めてから数分後。
微かではあるが僕は誰かさんが居眠りをしていることに気がついた。その誰かとは言わずもがな自分の兄である。
僕の視線に気がついたしえみさんが兄さんを起こそうとしているが、兄さんはまったく起きる様子がない。
どうして見学に来ている人がいるときに...そんなことを思いながら静かに兄さんの机の前に立つ。

「奥村くん」
「んにゃ...もう食えねぇ」

眉間にシワがよるのを自分でも分かった。机をドンッと叩けば飛び起きる兄さん。最初からこうすればよかったのか。

「え、俺寝ちまってた?」
「そうだよ、兄さん」

とっても気持ちよさそうにね、と強調する。教室全体が凍りつく中、うしろの席からくすくすと笑う声が聞こえた。

『燐ちゃん、学校でも寝てるんだね』

そう話す女の子の口を慌てて手で塞ぐフェレス卿。
だけど、さっきの言葉は完璧に僕にも、そしてきっと兄さんにも聞こえていた。僕たちの知る限りで、兄さんを「燐ちゃん」と呼ぶのはマイしかいない。いつもマイをフェレス卿に預かってもらっていたから、どうして突然フェレス卿が見学に来たのか不思議に思ってはいたが...そういうことか。

「フェレス卿、その隣の子はマイですよね?」
「ばれてしまっては仕方ないですね」

しぶしぶ口を塞いでいた手を離すフェレス卿。その隣ではようやく解放されたマイが嬉しそうに『雪ちゃん、本当に先生だー』となんとも呑気なことを言うものだから、頭を抱えそうになった。


入しちゃった!


『燐ちゃーん!』
「マイ!?なんで大きくなってんだ?」
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