後日談7
「なぁ、あれって」

他校との練習試合を終え、誠凛バスケ部全員で最寄りの駅を目指していると木吉先輩が前方を指差した。

「しずくちゃんと緑間くんじゃない!なになに?もしかしてデート?」

監督がにやにやしながら近くにいたキャプテンの背中をばしばし叩く。キャプテンは叩かれながら恨めしそうに、リア充爆発しろ、なんて物騒なことを言っている。他のメンバーも口には出さないものの羨ましさ半分、恨めしさ半分と言った表情で僕たちの前を歩く藍原さんと緑間くんを見ていた。僕の隣でハンバーガーを食べている火神くんを除いて、ですが。
僕にしてみれば、ふたりの幸せそうな姿をまた見ることが出来て嬉しかったりします。ふたりを見守りながらさっき購入したシェイクを啜る。

「それにしても身長差がハンパないな」

ふたりとも首疲れないのか?と突然、真顔で聞いてきた木吉先輩にみんな思わず吹き出しそうになった。

(((どうしてそうなった!?)))

みんなで笑いを堪えていると、あぁっ!と小金井先輩が声をあげた。

「あともうちょっとだったのに」
「何がもうちょっとだったんだ?」

伊月先輩が尋ねると、小金井先輩は自分の手をひらひらと振った。

「手だよ、手!」
「手?」

小金井先輩が水戸部先輩の隣に並ぶ。おそらく、前を歩く藍原さんと緑間くんに見たてているのだろう。
水戸部先輩が藍原さん役で、小金井先輩が緑間くん役といったところでしょうか。僕たちは静かにふたりを見る。

「よく見てろよー」

小金井先輩がそっと手を水戸部先輩の方へ伸ばしたかと思えば水戸部先輩の手に触れる寸前で引っ込めた。
あぁ、そういうことですか。
小金井先輩による再現を見た僕たちは、前方を歩くふたりに再び視線を戻す。視線の先ではまさに緑間くんの手が藍原さんの手に触れる寸前だった。しかし、緑間くんの手は藍原さんの手を取ることなく戻って行く。

「緑間のやつ、藍原の手をとっとと握っちまえばいいのに」

火神くんが飽きれた様子で言う。今回は僕も心からそう思いますよ、火神くん。

「あぁ、もう!じれったいわね!そう思うでしょ、日向君!」
「か、監督。死ぬ!死ぬから首締めるのやめて」
「いやー、初々しいな」
「木吉!そんなこと言ってないで助けろ!死ぬ!」
「何!?死ぬのか日向。お前の人生はまだまだこれからだろ!?」
「そんなボケはいらねぇよ!」
「あー。俺も彼女欲しいな」
「伊月も?俺も今、心からそう思うよ」

僕は火神くんの隣に並びながら、テンションが変になったみんなの様子を見守る。
どうやら誠凛バスケ部は


今日平和なようです。


「(なぜ、黒子たちが後ろにいるのだよ)」
『緑間くん?うしろになにかあった?』
「な、なにもないのだよ。しずく、人が多くなってきたから手を繋ぐのだよ」
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