後日談8
『2号くん、おひさしぶりだね!元気だった?』

僕の視線の先には2号を抱き上げて頬を寄せる藍原さん。そして、

「黒子、これは態となのか?」

僕の隣へと視線を移せばイライラしているのが面白いほどよく分かる緑間くん。どうやら僕と2号は、知らぬ間にふたりのデートの邪魔をしてしまっていたらしい。

「態とじゃないですよ。僕もまさか2号との散歩中にふたりに会うなんて思ってませんでした」

散歩の途中で急に2号が走り出すものだから、何事かと思ってついて行けば緑間くんと藍原さんがいたのだ。たぶん2号は藍原さんの香りに反応したのだろう。2号はいつも可愛がってくれる藍原さんに懐いているようでしたし、夏休みで会えなくて二号も寂しかったのだろう。緑間くんからはやく2号をどうにかしろと言わんばかりの視線を送られているがどうしようもない。緑間くんは本当に藍原さんのことになると人が変わりますね。

「そんなに睨まないでください」
「睨んでないのだよ」
「...はぁ。藍原さんに抱っこされてる2号にやきもちですか?緑間くん」
「なっ!?違うのだよ。犬に嫉妬などしていないのだよ」

完全に嫉妬してるじゃないですか。緑間くんが顔を紅くして必死に答えたのを見て僕は心の中でそう思った。あの緑間くんがとうとう2号にまで嫉妬するようになるとは。秀徳の高尾くんあたりに情報提供したい感じですね。永遠と続く緑間くんの謎の弁解の言葉を適当に受け流しながらふと、僕は#name1#さんと2号のほうを見る。先ほどと変わらず、2号を抱き上げて近距離で見つめあっている藍原さんの姿。見ているとすごく癒されますね。そんなことを思いながら眺めていると緑間くんは僕が話を聞いていないことにようやく気がついたようで、話をやめて僕と同じ方向を見た。そのときだった。まるで、緑間くんに見せつけるかのように2号が藍原さんの唇を舐めたのは。

「...」
『ふふ。2号くん、くすぐったいよ』

僕の視線の先には天使のような笑みを浮かべる藍原さん。隣には下を向いて小さく震えている緑間くん。恐らく2号の行動が緑間くんの許容範囲を完全に超えたのだろう。僕は緑間くんが藍原さんの元へ近づいていくのを静かに見守る。藍原さんは緑間くんに腕を引かれて立ち上がると緑間くんと向かい合わせになった。向かい合わせになったところまでは僕の立っている位置から確認できたのですが、それ以降は緑間くんが僕の方に背中を向けて立っていたのでふたりの間でどんなやり取りが行われていたのかは分かりません。

(なんとなく、緑間くんが少し屈んだあたりから予想はつきますが...)

心の中で苦笑していると足元から小さく聞こえた鳴き声によって現実に引き戻される。足元にはいつの間に藍原さんの手から抜け出して来たのか2号がいて僕のまわりを楽しそうにぐるぐると歩き回っていた。2号の様子からすると藍原さんに構ってもらえて満足しているらしい。

「さて、邪魔者は退散するとしましょうか」

2号を抱き上げると僕と2号は静かにその場を後にした。


のタメイキ


『み、緑間くん。ここ、公園!』
「消毒するのに場所など関係ないのだよ」
『もしかして、2号くんに嫉妬?』
「...違うのだよ」
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