きみがすき!3
『手嶋、助けて。私、頭が破裂しそうなくらい追い詰められてる』
「もうすぐ練習始まるから無理。今まで忘れてた折笠が悪い」
『うぅ。手嶋がいつになく冷たい』
近くにいた青八木くんに助けを求めるも、無理だと言わんばかりに首を横に振られてしまう。しかも、君達は困ってるか弱い美少女よりも部活を取るのか!?と問えば、もちろんと即答される始末。もういいや。私、今日マネのお仕事を放棄してやる。幹ちゃんがいるから私なんていなくたって別に大丈夫だろうし。
机の上にうつ伏せになってのの字を何回も書く。もちろんお決まりのどんよりオーラも忘れない。負のスパイラルとはこういうことか。たしかにネガティブな考えしかできなくなるね、これは。閉じた目をそーっと開いて横を見ると着替え終わった手嶋と青八木くんが部室を出て行こうとしているところだった。頑張れの一言くらい言ってくれてもいいじゃないか、なんて思いながら2人の後ろ姿を眺めながらむくれていると、突然手嶋が振り返った。うわ。不細工な顔してるところを見られた。確実に見られたよ。
「折笠」
『なんですか手嶋くん』
「はやくそれ、終わらせて来いよ」
『幹ちゃんがいるから別に私が行かなくても大丈夫でしょ』
「たしかにそうかもしれないけど、俺が大丈夫じゃない」
『は?』
「折笠に見ててもらわないと俺の調子が悪いんだよ」
『手嶋。それって…』
どういう意味なのかを聞こうとしたところで遠くから手嶋を呼ぶ田所先輩の声が聞こえた。今、行きます!と大きな声で返事をする手嶋。私の目が悪くなければ彼の耳はほんのりと赤い。これはもしかしてだけど、もしかしてだけど!手嶋は照れているのだろうか。そうだとしたすごいレアなものを私は見てしまった!あぁ、どうしてこういうときに限ってデジカメがないんだ。これからは持ち歩くようにしようかな、なんて考えていた思考は手嶋によって現実世界に引き戻された。
「じゃあ、先に練習行ってるから。頑張って終わらせて来いよ」
『わかった…頑張って終わらせる!て、手嶋!』
「ん?」
『手嶋も、練習頑張ってね』
私がそう言うと、手嶋は一瞬きょとんとしたあとすぐに「おう!」と嬉しそうに返してくれた。うわぁぁ!手嶋、可愛いすぎる!その後、手嶋が部室から出て行くとすぐに私は顔を両手で押さえて悶えたことは言うまでもないだろう。
「頑張れ」に想いをひそませて
(君に好きって伝えられたらいいのに)
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