なんで俺がこんなこと
「なんで俺がこんなこと...」
手に持った手紙を見てため息をつかずにはいられない。
HRが終わって教室から出るときに声をかけられた。女の子ではなく男に。何か用かと尋ねれば、目の前にいきなり手紙を突きつけられた。最初はそんな趣味ないんだけど、なんて思っていたら、手紙を渡してほしいと頼まれた。
「誰に渡せばいいの?」
「つららちゃんに渡してください!お願いします!」
つららの名前が出た瞬間、断ってやろうかと思った。馴れ馴れしくつららの名前呼ばないでくれないかな。だけど目の前の男の目が真剣だったから断ることもできずしぶしぶ受け取ってしまったのだ。男がぺこりとお辞儀をしたあと、去って行くのを見送る。それから俺はつららのクラスに急いだ。このとき、手紙を持つ手に力が入っていたことに気がつかなかった。
きっとこの手紙はラブレター。なんとなく、それはわかった。これを預かったときから、なんだか苦しい。つららはいつもたくさんの女の子たちから俺宛のラブレターを預かって持ってきてくれていた。いったいいつもどんな気持ちで俺のところにまで持ってきてくれていたんだろう。つららのクラスの前までやって来て中を覗くと、中にいたのはつららだけだった。
「つらら、迎えに来たよ」
『徹くん!もうすぐ準備できるからもうちょっと待って!』
「うん。ちゃんと待ってるから焦らなくていいよ」
しばらく教室のドアにもたれて待っていると、準備が終わったつららが駆け寄ってきた。
『待たせてごめんね。部活に行こう』
「そうだね」
いつものようにつららの手を握って歩きだす。今日のクラスでの出来事を楽しそうに話すつららを見ながら、そっと反対の手に持っていた手紙をポケットの中に押し込んだ。
君に隠す
「及川くん、手紙渡してくれたかな?」
「あー、ごめんね。渡す前に風に飛ばされちゃった」
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