戀という字を分析すれば いとしいとしと言う心 3
彼女が風邪をひいた。ここ最近、急に冷え込んだせいもあるのかもしれない。
(それにしても、ここまで熱が上がるのは久しぶりかもしれないね)
額に乗せていた手を離すと、彼女の目が薄っすらと開いた。

「身体の具合はどうだい?」
『…最悪、』
「だろうね。何か食べれそうかい?」
『アイスなら、食べれると思う』
「分かった、アイスだね。何か希望はあるかい?」
『ハーゲン○ッツ』
「は?」
『ハーゲ○ダッツが食べたい』
「却下」
『えー』
「えーじゃない。全く、」

やれやれと立ち上がろうとすると掴まれる服の裾。

『歌仙、どこに行くの?』

掴んだのはもちろん、不安げに瞳を揺らしてこちらを見上げる彼女。

「台所だよ。食べたいんだろう?ハー○ンダッツ」
『やっぱりいらない』
「でも、何か食べないと」
『お願い、歌仙』

―今はどこにも行かないで。

彼女のそんな言葉に、襖に掛けた手をそっと戻して先程と同じ場所に腰を下ろす。すると布団から出てきた彼女の右手。

『歌仙の着物、握っててもいい?』
「別に構わないけれど、こっちじゃなくていいのかい?」

そっと彼女の手を握ってやれば、彼女は安心したような嬉しそうな表情を浮かべる。

『こっちがいい』
「それじゃあ、このままでいようか」
『…歌仙、』
「なんだい?」
『いつもそばに居てくれてありがとう』
「突然どうしたんだい?」
『今、言いたくなった』
「そうか」
『…ねぇ、歌仙』
「ん?」
『これからもずっとそばにいてね』
「あぁ、もちろん」

君が、側に居ることを許してくれる限り
僕はずっと君の側に居続けるよ。
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