的場さん家の居候 2
『ただいま帰りましたー!』
「あぁ、ことり。おかえりなさい。変な男に絡まれませんでしたか?私はそれがいつも心配で心配で」
『大丈夫です。的場さんが心配するほど私、可愛くないので安心してください』
毎日繰り返されるこのやり取り。ウザい以外のなにものでもない。でも、ちょっと嬉しかったりもするけれど。
『これからお仕事に行くんじゃないんですか?』
「そうでした。
ことりに会えた嬉しさのあまり忘れていました」
時々、本当にこの人が的場家の当主でいいのか心配になる。七瀬さん曰く、的場さんがこんな風にウザくなるのは私にだけらしい。確かに仕事中の的場さんは、驚くほど真面目だ。
『気をつけていってきてください』
「ありがとうございます。いい子で待っていてくださいね」
『はーい。お土産期待してまーす』
玄関からひらひらと的場さんに手を振って見送る。ひと気のなくなった屋敷は、とても静かで不気味だ。世界にひとり取り残された気分になる。自分の部屋の椅子に座って机にうつ伏せになって、静かに目を閉じる。疲れていたのかすぐに眠気が襲ってきた。はやく的場さんが帰ってくるのを願いながら、わたしは意識を手放した。
ある日の夕方
「七瀬、ことりへのお土産は何がいいだろうか」
「的場が選んだものなら、あの子は何でも喜ぶと思いますよ」
4/7
▲ ▼
△