卯月の嘘 2
放課後。体育館では、いつも通り男子バスケ部の練習が行われていた。

「おい、原!サボんじゃねぇぞ」
『おい、原ちゃん!サボんじゃねぇぞ』
「健太郎!寝てんじゃねぇぞ」
『瀬戸ちゃん、寝てんじゃねぇぞ!』

指示やら注意やらをとばす俺の台詞をステージの上で勉強しながら真似する馬鹿者が約一名。最初のうちはシカトしていたがもう我慢の限界だ。怒りで震える手を握りしめて後ろを振り返る。

「おい、馬鹿玲...テメェ、自分の課題終わったのか」
『ん?終わるわけないじゃないの。』

ほら、とノートを見せてくる。いつ、ほぼ真っ白じゃねぇかよ。
思わず額を押さえてため息をつく。
玲の場合、勉強する気を起こさせるのが普通の奴よりも面倒くせぇ。

やる気さえ起きれば、あとは楽なんだが....。
中学のときはどうやってこいつをやる気にさせたのか全く覚えねぇ。
食いもんで釣ったか?
いや、そんなんじゃねぇな。

食べたいと思ったものは隣町の店にあるものだろうがすぐに買いに行くような奴だ。さて、どうするか。しばらく頭を悩ませていると玲がガサガサと近くにあった白い袋を漁り始めた。そして、目的のものを見つけたのだろう。嬉しそうな顔をして取り出した。

『それにしても体育館は暑いね。死んじゃうわ』
「おい、」
『なーに?真ちゃん』
「テメェがその手に持ってんのはなんだ」
『アイスに決まってるじゃないか。ちょっと!真ちゃん、勉強のしすぎで疲れてるんじゃない?』

大丈夫?と心配してくる玲にイラッとする。とりあえずこのイラつきを発散するためにこいつの頭を鷲掴みして揺さぶっておいた。


アイス食べる


「どろっどろに溶けたアイスなんていらねぇよ、バァカ」
『じゃあ、原ちゃんにあげよー。原ちゃーん!アイスいらない?』
「アイスくれんの?食べる食べる!」
「おまえらな...」
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