俺の知らない顔もするんだな
昼休み。
レオ姉と3階の廊下を歩いたら、突然レオ姉が隣から消えた。振り返ってみればレオ姉は外を見つめたまま立ち止まっていて、ずっと同じ一点を見つめ続けているものだから気になって俺もそっちを見る。あ、すみれちゃん。あと、木に隠れて見えないけれどもう一人いる。制服から判断すると男子かな。あそこはひと気のない場所で、よく告白するときに使われることで有名だ。ということは、すみれちゃんは現在進行形で告白されている可能性が高い。教室に戻りたいけど、レオ姉を一人にするのはなんだか不安だからとりあえず一緒にいてみる。
すみれちゃんを見ていると顔を真っ赤にしたり、真っ青になったり。表情の変化がとにかく激しい。最後には申し訳なさそうに何度もぺこりと頭を下げているところから察するに、相手の男は断られたのだろう。そんなことを考えていると突然、すみれちゃんがふにゃりと見たことないくらい幸せそうな笑顔を見せた。一体何の話をしているのかと考えていると、隣にいたレオ姉がぽつりとつぶやいた。

「俺の、知らない顔もするんだな」

いつもと違う口調に気がつかないわけがない。俺は驚いてレオ姉のほうを向いた。レオ姉は無表情で、下にいるすみれちゃん達を見ていて、少し怖かった。

「レオ姉?」

恐る恐る声をかければ、ハッとしたような顔をしていつもの表情に戻る。

「小太郎、どうしたの?」
「え、いや。なんとなく」
「そうなの?あら、もうこんな時間だわ」

戻りましょうと言ってレオ姉は歩きだして、俺もついて行く。すみれちゃんがいたほうをちらりとみれば、そこにはもう誰もいなかった。


の子との子


(両思いのはずなのに、)
(どうしてふたりは遠回りばかりなんだろう)
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