秘密の花園 2
『リドル、退いてくれないかな。掃除したいんだけど、』
「嫌」
リドルと一緒に暮らし始めて3ヶ月。この3ヶ月で、私の中でのリドルの印象がガラリと変わった。全部ではないだろうが、リドルが本性を出し始めたのである。私の彼に対する第一印象の無口でクールな美少年というのは変わらず健在であるが、喋らせてみれば出てくるのは辛辣且つ上から目線な言葉ばかり。
だけど、会話をしてくれるようになっただけまだマシか。最初の頃は警戒してあまり喋ってくれなかったし。はぁ、とため息をつきながら私は如何にしてリドルをあのソファーから移動させるか考える。
『ねぇ、リドル。お菓子あげるから退いてくれないかな?』
「そんなものに釣られて僕が動くとでも思っているのか」
ですよね。私もそう思います。
リドルがそこらへんの同い年の子とレベルが違うこと位わかっていましたとも。
『それじゃあ、どうしたら退いてくれますかね。リドルさん』
「リドル様、」
『は?』
「リドル様って呼んだら退いてやらないこともない」
『…(このクソガキ、)』
こっちが下手に出れば調子に乗りやがって、と心の中でぼやきながらも私は笑顔をキープしようと努める。恐らく今の私の笑顔はひどく引き攣っていることだろう。
我慢だ、私。14歳も年下の子にキレるなんて大人げないところを見せてはいけない。
『り、リドル様?掃除の邪魔なので退いて頂けませんかね』
「あ、そうだ。あと、跪いたら退いてやる」
リドルは持っていた本をパタンと閉じると、とてもいい笑顔で言い放った。キラキラとした目は可愛いのだが、言ってることは全くもって可愛くない。出会った頃の私なら素直に従っていただろうが、今は違う。「郷に入っては郷に従え」ということわざがあるように、リドルには私の家に居るからには私という法に従ってもらおうではないか。
既に我慢の限界に達していた私は、手に持っていたバケツとモップを勢いよく床に置いてリドルに近づく。そして、ひょいとまだ私より小さいリドルを担ぎ上げて扉のほうに向かう。最初は驚いて固まっていたリドルだが、自分が担ぎ上げられたと分かると暴れ始めた。
「リア、降ろせ!お前なんかに担がれるなんて一生の恥だ」
『一生の恥だなんて大袈裟な。こうなるのが嫌だったらすぐに退けばよかったんだよ』
「…あとで絶対殺してやる!」
『はいはい。リドルにそれができたらね』
こんな会話をしながらリドルの自室へと向かう。途中、リドルに持っていた本の角で殴られながらも、なんとか無事にリドルを連行した私が掃除をする前に疲れ果てたのは言うまでもない。
書斎にて
「魔女なのに魔法で僕を運ばないリアって本当に馬鹿だよね」
『こっちのほうがリドルに精神的ダメージを与えられると思ったんだよ』
「そんな性格だから恋人ができないんじゃない?」
『なっ!?余計なお世話!』
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