秘密の花園 3
『あれ…ない?』
庭の花に水をやって戻ってくるとテーブルの上に置いておいたはずのケーキがなくなっていた。違う場所に移動させただろうかと自分の記憶を辿りながら周りを見渡してもケーキらしきものは見当たらない。本当にどこに行ったというのか。
ふと窓際のソファーを見ればいつものように読書をしているリドルがいた。
『リドル。テーブルに置いていた私が作ったケーキを知らないかい?』
リドルが座るソファーに近寄ると彼は視線を手元の本から私へと移動させた。私を見上げるリドルの上目遣いに可愛いなと思ったけれど惑わされてはいけない。彼は口を開けば見た目からは想像も出来ないほどの毒を吐くのだ。今までそれらの毒は大人の余裕という名の我慢で耐えてきた私であるがそろそろ限界が近いかもしれない。まだ今日は大丈夫そうだけど。
「リアが作った、ケーキ?」
リドルは一瞬だけ驚いた表情を浮かべたが、すぐにいつもの無表情に戻った。おい。どうして「私が作った」ってところを強調するんだよ、リドルくん。
『そう。チョコレートケーキなんだけど』
そう言えばリドルってチョコレートとか食べるのか?お菓子はいつもテーブルの上に置いて自由に食べれるようにしているけど、リドルがお菓子を食べているところをあまり見たことがない。笑顔でお菓子を頬張るリドルがいたら、それはそれで怖い気もするけれど。あ!話がずれてしまった。どうやってリドルのあの性格を直すかは後で考えるとして、今は私のケーキを探すことに集中しなければ。
「あぁ。あれならさっき僕が食べた」
『た、食べた?』
ホールケーキを1人で食べたと?
予想外の事態に私はぽかんとしてしまった。
まさかあのリドルが1人でチョコレートのホールケーキを食べたなんて!もしかしてリドルはチョコレートが好きなのだろうか。それなら明日からはたくさんのチョコを準備しておこう…じゃなくて!感想!リドルからケーキの感想を貰わなければ。勝手に食べたのだから感想くらいは聞く権利が私にはあるはずだ。たぶん。
『ねぇ、リドル。ケーキはどうだった?』
「普通。食べれなくもなかった。
(あのケーキをリアが作ったなんて知らなかった。
絶対に「美味しかった」なんて言ってやらないから)」
『ふーん。そっか。
(このクソガキ。素直に美味しいと言えばいいものを)』
リビングにて
「…アップルパイ」
『え?』
「今度、アップルパイの試食ならしてあげてもいいよ」
『ふふ。わかった。そのときはお願いするよ
(遠回しにリクエストしてくるなんて可愛いところもあるじゃないか)』
「不味かったら許さないから」
『はいはい』
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