とある機関員の監察報告書 (報告者:三好)
黒戸萌音、という人物はある日突然僕たちの前に現れた。家政婦としてここで働きに来たのかと思えばそうでもないらしい。僕達の訓練に混ざってみたかと思えば、すぐにふらりとどころかへ出掛けてみたりと気まぐれである。
『…なんですか?私の方をじっと見て』
テーブルに座って本を読んでいた彼女は、僕の視線に気がつくと怪訝そうな顔をした。
「いえ、なんでもないですよ」
『嘘ですね』
「本当ですよ。それより、」
『それより?』
「おじいちゃんって言うのやめてもらえませんか。すごく複雑な心境になるので」
『無理です。小さい頃からの癖なので』
「速やかに直して下さい」
『嫌です』
【監察対象者に関する報告・特記事項】
・他人の指図を受けない気まぐれ頑固娘
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