人はヒヨリミなんだ、しょうがない
無事に入学式を終えて、自分の席に着いていると突然声をかけられた。

「藍原さん?」
『黒子くん!久しぶりだね』

聞き覚えのある声だなと思っていたら3年生のときに同じクラスでよく相談に乗ってもらっていた黒子くんが立っていた。彼の席は、私の隣の席だったらしい。

「まさか、藍原さんも誠凛に入学してたなんて驚きました」
『私は桃井ちゃんから黒子くんの情報もらってたよ。黒子くんと同じクラスになれるとは思ってなかったから心強いな』

私がそう言うと僕も藍原さんと同じクラスでよかったです、と黒子くんは言ってくれた。
先生が来るまで、たくさん話をした。私が転校したあと、黒子くんもいろいろあったことを知った。私もどうして急に転校したのか、少しだけだけど黒子くんに話した。話し終えると、ぽんぽんと優しく以前のように頭を撫でてくれて私は泣き出しそうだった。

「藍原さんは、今も緑間君が好きなんですか?」

上手く返事ができなくて、こくこくと頷く。それを見た黒子くんは、また優しく微笑んで頭を撫でてくれる。

「今でも緑間君は、藍原さんと同じ気持ちだと僕は思います。緑間君が本当に幸せそうにしていたのは、藍原さんが隣に居たときでしたから」
『ありがとう、黒子くん』

お礼の言葉はちゃんと言えていただろうか。黒子くんの言葉が引き金になってしまったらしく、なかなか涙が止まらない。黒子くんが私の頭を胸元に引き寄せ、隠してくれて、その優しさに更に泣きたくなった。


人はヒヨリミなんだ、しょうがない


(私も、君のように過去と向き合えたらいいのに)
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