ここにいるからね
「あのさ、真ちゃん。いい感じなところ悪いんだけどさ、先輩たちがお怒りだぜ。特に宮地さんあたりが」

緑間くんに抱きしめられていると突然、後ろから声がした。慌てて離れようとしても緑間くんは離す気がないらしく更に抱きしめる力が強くなった気がする。

「高尾、悪いと思うなら声をかけるな」
「いやいや。真ちゃんを連れて戻らないと怒られるの俺なんだぜ?」
「ならば、怒られればいいのだよ」

緑間くんと話をしている高尾くん(で、いいんだよね?)が困ったようにため息をつくのが分かった。正直、人前で抱きしめられている姿を見られるのはかなり恥ずかしい。

『緑間くん、お友達を困らせちゃだめだよ』

そういうと緑間くんはちょっとしかめっ面になり、後ろからはぶはっと吹き出したような笑い声。

「ほら、真ちゃん。大事なお姫様からのお願いだぜ。叶えてあげなよ」
「だが…」

ぎゅっと緑間くんに手を握られる。

『大丈夫だよ。もう勝手にいなくなったりしないから』

彼の手を握り返すも、彼の表情は変わらない。

「俺の気が済まないのだよ」

真面目にそう返す緑間くんに私と高尾くんはポカンとする。そして、高尾くんは思いついたように言った。

「それなら、真ちゃんのお姫様も連れて行っちゃえばいいんじゃね?」
「その手があったのだよ」

手を離したかと思えば緑間くんはあろうことかひょいと私を横抱きにして立ち上がる。

『み、み、緑間くん!重いから降ろして!』

必死に抵抗してみるけれど、彼は聞き入れてくれない。高尾くんに助けを求めても、真ちゃんは頑固だから諦めなよと言われてしまった。私は諦めるしかないらしい。とりあえず恥ずかしいので彼の胸元に顔を向けて、周りの人からの視線から逃れることにしよう。


こにいるからね


「あ。すごい今更だけど、俺は高尾和成。真ちゃんと同じチームね。しずくちゃん、よろしく」
『こちらこそ、遅くなってごめんなさい。藍原しずくです。よろしくね、高尾くん』
「おぉ!なんかしずくちゃんって小動物みたいだな、真ちゃん」
「高尾、とりあえず黙るのだよ」
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