From now on.
「着いたよ。」
ロキの案内で茂みをかき分けて歩くこと早十分。始まりの場所に戻った私はほっと胸を撫で下ろした。
日が沈みかけ暗くなり始めた森。ただでさえ薄気味悪い上に危険な場所だったと思い返したときはすでに出発した後だった。
自分が切り出した話なので責任はちゃんと取らなければならない。そう自分を鼓舞したが決意と感情はそう簡単に折り合わない。茂みは揺れ、上から野鳥の声がする。その度にビクビク辺りを見渡して何もないとわかり安堵して...その繰り返し、たかが十分と言えどその間にいろんな恐怖があった。
「良かった。たくさんあるから何回か往復すると思ったけどこれだったら大丈夫そうですね。」
「ああ。」
「あっちに食べ物の匂いがしたから取りに行くね。」
「俺も行くぞ!!」
ロキがそう言うとチョッパー君も着いていく。二人と一匹残されて、さてどうしようとゾロさんを見た。
「ゾロさんは行かないんですか?」
「...いや。先にこっちを終わらせる。果物は任せた。」
そう言って工具を詰めにいくゾロさん。一人になるのは心許ないがルークも残っているしそう離れていないのでとりあえずは大丈夫だろう。
さっさと終わらせてゾロさんを手伝うために果物を持ってきた風呂敷に乗せる。中には傷んで食べられない物もあったのでそれは省く。そういった作業を繰り返していくとロキが一匹だけで帰ってきた。
「チョッパー君は?」
「知らないよ。あんな奴。」
棘のある言い方に眉を下げると彼は見たでしょと言った。
「見たでしょって何を?」
「あいつらの船だよ!!海賊旗掲げてたんだ。あいつら海賊だぞ?!」
ロキの言葉に船を思い返すと確かに麦わら帽子を被ったドクロの絵があったことを思い出した。
「...そういえばそんなのあったよね。私はあのマーク可愛いと思ったよ?ロキが警戒するのは何となくわかったけど...あの人達は私達を助けてくれた。海賊にも良い人はいると思うな。」
そう返すとロキは毛を逆立てて怒った。
「カズハは危機感ってものがないの?!あいつらは海賊なんだ!!そりゃあ助けてもらったけどさ、何を考えてるかわかんないんだよ!!?僕達を売るかもしれない。何かあったら僕達だけ置いていくかもしれない...」
尻窄りしていく声とともに逆立った毛は落ち着き、膨らんだ尻尾も力無く垂れ下がる。
「私はね、ホントは何も覚えてなくて不安で...同じ人間ってだけだけどナミさん達に会ってすごく嬉しかったんだよ。あ、もちろんロキ達に会えたのも嬉しかったよ。だからあの人達のことを信用しすぎているのかもしれない。もしかしたら騙されてるのかも...」
自分で言った癖にそれは嫌だなと思った。海賊とは恐ろしいものなんだと、記憶がない私でもそれくらいはわかる。でも彼らは良い人だと思った。
記憶を失くした私が初めて出会った人達をただ無条件に信じたいのかもしれない。本当はその顔は仮面で、その下に残虐な本性を隠していて、私達を助けて良い人だと信じ込ませるためで、あとで掌を返すのかもしれない。
もしそれが事実だとしたら、ゾッと身の毛が弥立つ。ガクガクと震える体を止めるように抱き締めた。右も左も分からない私は一体誰を頼ればいいのか検討もつかない。けど、それでも、
「ルフィさん達と合流したときのナミさん達を見たでしょ。私はあの人達の言葉に嘘はないと思ってる。まだ何も知らないけどさ、信じてもいいんじゃないかな?」
「.........カズハがそう言うなら。」
「私の意見を聞くんじゃなくてロキは?あの人達のことどう思う?」
「僕は...僕はあいつらを信じるとかそういうのじゃなくて、ただ故郷に帰りたい。カズハを僕の故郷に連れていきたいって思ったから一緒にいるんだ。だからカズハが信じるっていうなら信じてみる。」
「そっか。...て、え?私をロキの故郷に?」
「うん。あ、僕の故郷“風狼島”はちゃんと人も住んでる島だから安心してね。青海に帰ってもさ、記憶戻らなかったらそこで暮らせばいいよ。島長のフウゲツ様はいい人だからきっと許してくれるよ!!」
ロキのいきなりの提案に驚いたが自分は船に乗った後次の島で下ろしてもらうことだけでその後は何も考えていなかった。
(そっか、これからどうするかも考えないといけないんだ。)
世界についても私についてもわからないことばかり。せめて船が出航するまでに考えておかなきゃ。
「カズハ?いきなり固まってどうしたんだ?」
「あ、ごめん。ロキにあんなこと言っといて私はこれからのこと何も考えてないなって思っただけ。もし私に記憶が戻らなかったらロキの故郷に行きたいな。」
「あ、でも僕は記憶が戻ってもカズハと一緒にいたいよ!」
「ロキ君...」
またもやひしっと抱き合う一人と一匹も見てルークはおいおいと呆れていた。
「キュー...キュウキュイ??」
というか俺のこと忘れてないか?さっきから俺抜きで話が進んでるんだけど。そう言うとロキはあ、と明後日の方向を向いた。
「?ルークはなんて言ってたの?」
「俺のこと忘れてないか?って。」
「あ...」
ルークの言葉を翻訳してもらったカズハも同様に同じ方向を向けるとルークの冷たい視線が刺さる。彼らはチョッパーが血相を変えて戻ってくるまでそのままだった。
ロキの案内で茂みをかき分けて歩くこと早十分。始まりの場所に戻った私はほっと胸を撫で下ろした。
日が沈みかけ暗くなり始めた森。ただでさえ薄気味悪い上に危険な場所だったと思い返したときはすでに出発した後だった。
自分が切り出した話なので責任はちゃんと取らなければならない。そう自分を鼓舞したが決意と感情はそう簡単に折り合わない。茂みは揺れ、上から野鳥の声がする。その度にビクビク辺りを見渡して何もないとわかり安堵して...その繰り返し、たかが十分と言えどその間にいろんな恐怖があった。
「良かった。たくさんあるから何回か往復すると思ったけどこれだったら大丈夫そうですね。」
「ああ。」
「あっちに食べ物の匂いがしたから取りに行くね。」
「俺も行くぞ!!」
ロキがそう言うとチョッパー君も着いていく。二人と一匹残されて、さてどうしようとゾロさんを見た。
「ゾロさんは行かないんですか?」
「...いや。先にこっちを終わらせる。果物は任せた。」
そう言って工具を詰めにいくゾロさん。一人になるのは心許ないがルークも残っているしそう離れていないのでとりあえずは大丈夫だろう。
さっさと終わらせてゾロさんを手伝うために果物を持ってきた風呂敷に乗せる。中には傷んで食べられない物もあったのでそれは省く。そういった作業を繰り返していくとロキが一匹だけで帰ってきた。
「チョッパー君は?」
「知らないよ。あんな奴。」
棘のある言い方に眉を下げると彼は見たでしょと言った。
「見たでしょって何を?」
「あいつらの船だよ!!海賊旗掲げてたんだ。あいつら海賊だぞ?!」
ロキの言葉に船を思い返すと確かに麦わら帽子を被ったドクロの絵があったことを思い出した。
「...そういえばそんなのあったよね。私はあのマーク可愛いと思ったよ?ロキが警戒するのは何となくわかったけど...あの人達は私達を助けてくれた。海賊にも良い人はいると思うな。」
そう返すとロキは毛を逆立てて怒った。
「カズハは危機感ってものがないの?!あいつらは海賊なんだ!!そりゃあ助けてもらったけどさ、何を考えてるかわかんないんだよ!!?僕達を売るかもしれない。何かあったら僕達だけ置いていくかもしれない...」
尻窄りしていく声とともに逆立った毛は落ち着き、膨らんだ尻尾も力無く垂れ下がる。
「私はね、ホントは何も覚えてなくて不安で...同じ人間ってだけだけどナミさん達に会ってすごく嬉しかったんだよ。あ、もちろんロキ達に会えたのも嬉しかったよ。だからあの人達のことを信用しすぎているのかもしれない。もしかしたら騙されてるのかも...」
自分で言った癖にそれは嫌だなと思った。海賊とは恐ろしいものなんだと、記憶がない私でもそれくらいはわかる。でも彼らは良い人だと思った。
記憶を失くした私が初めて出会った人達をただ無条件に信じたいのかもしれない。本当はその顔は仮面で、その下に残虐な本性を隠していて、私達を助けて良い人だと信じ込ませるためで、あとで掌を返すのかもしれない。
もしそれが事実だとしたら、ゾッと身の毛が弥立つ。ガクガクと震える体を止めるように抱き締めた。右も左も分からない私は一体誰を頼ればいいのか検討もつかない。けど、それでも、
「ルフィさん達と合流したときのナミさん達を見たでしょ。私はあの人達の言葉に嘘はないと思ってる。まだ何も知らないけどさ、信じてもいいんじゃないかな?」
「.........カズハがそう言うなら。」
「私の意見を聞くんじゃなくてロキは?あの人達のことどう思う?」
「僕は...僕はあいつらを信じるとかそういうのじゃなくて、ただ故郷に帰りたい。カズハを僕の故郷に連れていきたいって思ったから一緒にいるんだ。だからカズハが信じるっていうなら信じてみる。」
「そっか。...て、え?私をロキの故郷に?」
「うん。あ、僕の故郷“風狼島”はちゃんと人も住んでる島だから安心してね。青海に帰ってもさ、記憶戻らなかったらそこで暮らせばいいよ。島長のフウゲツ様はいい人だからきっと許してくれるよ!!」
ロキのいきなりの提案に驚いたが自分は船に乗った後次の島で下ろしてもらうことだけでその後は何も考えていなかった。
(そっか、これからどうするかも考えないといけないんだ。)
世界についても私についてもわからないことばかり。せめて船が出航するまでに考えておかなきゃ。
「カズハ?いきなり固まってどうしたんだ?」
「あ、ごめん。ロキにあんなこと言っといて私はこれからのこと何も考えてないなって思っただけ。もし私に記憶が戻らなかったらロキの故郷に行きたいな。」
「あ、でも僕は記憶が戻ってもカズハと一緒にいたいよ!」
「ロキ君...」
またもやひしっと抱き合う一人と一匹も見てルークはおいおいと呆れていた。
「キュー...キュウキュイ??」
というか俺のこと忘れてないか?さっきから俺抜きで話が進んでるんだけど。そう言うとロキはあ、と明後日の方向を向いた。
「?ルークはなんて言ってたの?」
「俺のこと忘れてないか?って。」
「あ...」
ルークの言葉を翻訳してもらったカズハも同様に同じ方向を向けるとルークの冷たい視線が刺さる。彼らはチョッパーが血相を変えて戻ってくるまでそのままだった。