Departure.

雲ウルフのもふもふに包まれて眠っていた私はナミさんにぺちぺち叩かれることで起床した。

「あ...もふもふが...」

私が起きるのを待っていた雲ウルフは名残惜しそうに去っていく。バイバイと手を振っていると後ろから視線を感じた。

「ロキどうしたの?」

「...別に。」

別にと言うくせに尻尾は荒ぶっている。ぱしぱしと当たるがふさふさしてるそれは全然痛くない。むしろくすぐったい。

「早く来ないと置いてくわよ?」

「今行きます!!」

・ ・ ・

ナミさんと一緒に船があった祭壇まで行くと湖岸にはすでにメリー号が接岸されていた。寝ぼけて周囲の様子を見てなかったが湖岸にみんなの姿があると言うことはつまり私が最後に起きたということだ。

「ごごご、ごめんなさい!!船に乗せてもらうのに何も手伝わないなんて!!!」

朝一とまでは言わないが早く起きて何か手伝いたかったのに、何やってんだ私と心の中で自分をぽかすか殴った。そんな私にナミさんはあんなのうちの男共に任せればいいのよと言った。

「あれ?そう言えば船、昨日と形が違いますね。あれが元の姿ですか?」

「お!カズハも気づいたか。」

「て言うかお前メリーがどんな船だか知ってるのか?」

まさかお前が?!と二人+チョッパー君の視線が刺さる。

「?メリー号って名前だから羊がモデルの船ってことは知ってますよ。鶏冠と垂れ尾っぽと翼だったものが付いてるからおかしいとは思ってましたけど。」

「そうか。...そもそもお前が一人でやるなんて無理だよな!」

ガハハハと豪快に笑うウソップさん。馬鹿にされてないはずだがなぜかモヤモヤする。結局この話はナミさんの出発の声で中断された。

「おーし!!そんじゃ行くかァ!!!」

「き、気をつけて下さい!!」

探索組と脱出組に別れて空島脱出作戦は始まった。

・ ・ ・

「風が気持ちいね〜。」

雲の川の起伏が激しいのでカラス丸という名のダイヤル船の動力しか頼りにならないらしく、遺跡近くの海岸を目指す脱出組はゆったりとした快適な船旅を送っていた。

船の手摺に腰かけて流れていく景色を堪能する。ここが危険な場所とは思えないほど森は静かだ。

「これが嵐の前の静けさって奴かな?」

「こら!怖いこと言わないの!!」

...冗談で言ったらナミさんに怒られた。

◆  ◇  ◆

「この国の...歴史を少し話そうか...」

空の騎士の薬を取りに行った彼女が戻ってくると彼はこの島の歴史について語りだした。

400年間続く争い。それは空に住む住人と先住民の大地のめぐる戦いだった。

「...悲しい話だね。」

故郷を取り戻したいシャンディヤ、大地を神聖としそれを得ようとしたスカイピア。後者の方が悪いように思えるが空の住人にとってそれほど重要な物のようだ。

島の歴史を話している間も心地好い風が私達の間を駆け抜ける。それに耳をぴくぴくと動かせたロキは小人の姿になると眠たいと服にしがみついてきた。

「私が寝た後もずっと起きてたもんね。」

ロキの頭を優しく撫でナミさんに許可を貰って女部屋に入った。勝手に使っていいと言われたがベットを使うわけにはいかないのでシーツに包まって壁に背を預ける。
ロキを寝かすだけのはずがあれだけたくさん寝たはずなのに眠気で瞼が閉じていく。

そして次に目が覚めたとき、船は大変なことになっていた。
prev-back-next